財形住宅・財形年金を解約する時にはペナルティーがある
「財形年金・住宅は非課税で得!」に対して、「非課税の財形年金・財形住宅を目的外で利用した場合、当然利子に課税されるが、それでも使いたい場合の手続き、利子課税の仕組みについて解説してもらえると嬉しいです」とのコメントをいただきました。財形住宅・財形年金貯蓄を解約、税金はいくら取られる?
<目次>
財形貯蓄のおさらい…一般・年金・住宅財形貯蓄の3種類
財形貯蓄は、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があり、積み立て先金融機関により「貯蓄型」と「保険型」に分けられます。財形貯蓄の中で、非課税の特典があるのは財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄です。財形貯蓄を目的以外で引き出す場合は、非課税特典を返還
財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄を目的以外で払い出す場合、特定の5つのケースを除いて、それまで受けていた非課税の特典を返還することになります。その返還方法(=課税)は「貯蓄型」と「保険型」で異なります。■税務署の確認を受けると非課税で払い出しが可能となるケース
- 本人や生計を一にする親族が所有する家屋が災害等で被害を受けた
- 本人や生計を一にする親族の医療費の年間合計額が200万円を超えた
- 本人が所得税法上の一定の寡婦や寡夫に該当することになった
- 本人が所得税法上の特別障害者に該当することになった
- 本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することになった
*詳細は、国税庁のホームページあるいは住所地の税務署で要確認
財形貯蓄の解約手続きは、それぞれの会社によって異なりますので、所属会社の担当部署に尋ねましょう。
財形貯蓄を継続できるケース
できれば継続したい財形貯蓄です。退職後1年以内に財形貯蓄制度を採用している会社に転職し、転職先の会社を通して財形貯蓄の移動手続きを行えば、以前の会社で行っていた財形貯蓄を継続することができます。また、財形年金では、一定の要件を満たした55歳以上の人については「年金の支給開始は60歳以上。年金の支給開始を5年以内であれば据え置くことができる」ので解約を免れることもあります。
財形住宅貯蓄の解約と課税
(1)「貯蓄型」過去5年間の利子に対してそれぞれ20.315%源泉徴収課税されます。
過去5年間の課税の方法には、次の2パターンが考えられます。どちらの課税方法を採用しているのか銀行、税務署等に問い合わせましたが、確認できませんでした。過去5年間の利子について「遡及課税」という説明です。
~課税のイメージ~
<パターン1>
積立開始▲
・ ・
・ ・ ▲=積立て原資
・ ・ ×=利子
・ ・
・ ・
5年前 ▲……▲×
4年前 ▲……▲▲×× ←利子に20.315%課税
3年前 ▲……▲▲▲××× 〃
2年前 ▲……▲▲▲▲××× 〃
1年前 ▲……▲▲▲▲▲×××× 〃
解約年 ▲……▲▲▲▲▲▲×××××←利子に20.315%課税
<パターン2>
▲▲…………▲▲▲××××××××××
|――――――――|
↑
過去5年間の利子合計に20.315%課税
(2)「保険型」
解約返戻金・積立配当金の差益について20.315%が源泉分離課税されます。
<課税のイメージ>
▲▲………………………▲▲▲××××××××××××××××
|――――――――――――|
↑差益すべてに20.315%課税
財形年金貯蓄の解約と課税
「貯蓄型」は、財形住宅貯蓄と同様に過去5年間の利子に対して20.315%源泉分離課税されます。
「保険型」は財形住宅貯蓄とは異なり、解約返戻金や積立配当金の差益すべてが一時所得として総合課税されます。<一時所得の課税所得の算出方法>
一時所得額=(受取総額-積み立てた総額)-50万円(特別控除)
課税所得額=一時所得額÷2
*50万円は一時所得総額に対する特別控除額です。
算出した課税所得は、給与所得等に合算して翌年の原則2月16日~3月15日に確定申告して納税します。ただし、給与所得や退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円以下の場合は申告が不要になるケースがあります。
<課税のイメージ>
▲▲・・・・▲▲▲××××××××××××××××××x×
|――――――a―――――――|
↑
課税所得額=(a-50万円(特別控除))÷2
*これは翌年の原則2月16日~3月15日に確定申告して納税する。
なお、課税については、それぞれの金融機関で処理したり、申告の案内等があります。
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