(2)頭金を貯めてから買う場合
一般的に、必要な頭金は物件価格の2割といわれています。2500万円のマンションを希望しているゆりこさんの場合は500万円が必要ということになります。諸経費はローンに頼るとしても、あと350万円貯めないといけません。現在の貯蓄ペースは年間76万円なので、4年半もかかることになります。その間、毎月8万円の家賃を払うと最終的な支出はいくらになるのでしょうか。
住宅ローン2000万円を金利3%、返済期間30年で借りると、毎月の返済額は84,320円です。諸経費ローンは(1)と同様とすると毎月の返済額は28,306円。合計112,626円となります。
ただ、購入は4年半後。それまでに家賃を支払い続けますので、家賃合計は8万円×12ヶ月×4.5年=432万円になります。
<ゆりこさんが支払う総額>
・住宅ローン 30,355,200円
(月84,320円×12ヶ月×30年)
・諸経費ローン 1,698,360円
(月28,306円×12ヶ月×5年)
・頭金 500万円
・家賃 432万円
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合計 41,373,560円
頭金を貯めてから購入する場合の総額は4137万3560円となります。すぐに購入した場合は3964万2720円のため、それより173万840円多く支払う結果となりました。
ただ、月々のローン返済額は21,081円安くなりますので、差額を貯蓄して繰上げ返済をすることも可能でしょう。4年間で約100万円貯まりますので、そこで繰上げ返済をすると節約できる利息は約111万円。頭金なしで買ったときとの差額は約62万円と縮まります。
頭金を貯めてから購入すると、完済時期も遅くなるので繰上げ返済をすることが望ましいといえますが、この100万円の繰上げ返済で2年1ヶ月短縮することができます。
★購入後の諸経費でメリットは半減
すぐに買うのと頭金を貯めてから買うのとでは、ローンだけを比較すればいいわけではありません。住宅を購入すると管理費や修繕積立金、固定資産税など、賃貸のときにはかからなかった費用も発生します。ゆりこさんのケースでは、4年半早く買うことで、その分経費も余計にかかるというわけです。
購入後にかかる諸経費は年間でおよそ20~30万円、4年半では90~135万円です。(1)と(2)の差額は173万円なので、早く買ったメリットのほとんどは消えてしまう計算です。
★家賃、ローン、金利などによって損・得はさまざま
ゆりこさんのケースでは、(1)ローンを多く借りてすぐに買ってしまった場合と(2)頭金を貯めてから買う場合とでは大きな差はありません。それならば早く気に入った家に住んだほうがいいという考えもあるでしょう。
ただし、これはあくまでも一例で、現在支払っている家賃、これから貯蓄できる額、頭金として必要な額、ローン金利、住宅ローン減税などによってどちらのケースがいいかは異なります。現在の家賃が15万円と高めなら買った方がいいかもしれませんし、社宅などに住んでいて毎月2~3万円しか住居費がかかっていないというなら貯蓄を増やした方がいいでしょう。
また、実際に借りたい金額のローンが組めるかどうかも問題です。物件価格の100%まで貸してくれる金融機関は限られており、収入要件なども通常より厳しくなっています。住宅ローンが多めに借りられず、やむを得ず無担保ローンなど金利の高いローンを組んで返済に困っている人もいますので、頭金なしで購入する場合には、返済計画をしっかり立ててから行うことが望ましいでしょう。
次回は「頭金がなくても借りられる住宅ローン」です
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