5年固定金利型個人向け国債発行へ
いよいよ、新型の個人向け国債の登場です。既に10年満期の変動金利型の個人向け国債は発行されていますが、これに加えて平成18年1月に5年満期の固定金利型の個人向け国債が発行されます。
今回は、新型個人向け国債と従来の個人向け国債や一般国債との違いを順を追ってみていきます。
【インデックス】
- 債券基礎知識 当ページ
- 低金利時に有利な個人向け国債(変動型) >>>P2
- 新型個人向け国債(固定型)・ 固定金利新型 VS 固定金利従来型 >>>P3
- 個人向け国債 固定型 VS 変動型 >>>P4
では、個人向け国債の特徴を見る前に、まず債券の特徴を見てみましょう。
債券=借用証書には条件が記載されている
債券は、お金を借りる側がお金を借りた証(あかし)としてお金を貸す側に渡す「一種の借用証書」のようなものです。これには金利(お金借り賃)、償還日(返済期限)、額面金額(償還日に返済する金額)などの条件が書かれています。
「債券=安全」なのは、発行元が安泰な場合
お金を借りて債券を発行する側を発行体といい、国債の場合は発行体が国ということになります。発行する側が企業であれば社債、地方公共団体であれば地方債と呼びます。そして、公の債券と企業の債券をあわせて公社債といいます。
債券は、償還日に額面金額(証書に書かれている金額)が保証されていますが、この金額を保証しているのはあくまでも、発行体ですので、債券を発行している企業などが倒産すれば、貸したお金がほとんど戻ってこないということもあります。
つまり、債券=安全なのは、発行体が存続して約束を守ってくれる場合です。お金を誰かに貸す時にはその人がきちんと返してくれる人かどうかを確かめるのと同じように、債券投資をする場合には、お金を貸してあげる相手(発行体)の信用度を確かめておく必要があります。
金利上昇時に債券(固定金利型)を売却すると元本割れの可能性大
市中金利が上昇すると債券価格は下落(市中金利と価格は反対に動く) |
債券と借用証書の違いは、債券は途中で転売することができるということです。債券は、通常固定金利型ですので、金利は保有期間中変動せず、償還時には額面が保証されていますが、期間中は価格が変動しており、中途換金(売却)すると元本割れになる場合もあります。
例えば、年1%の債券は償還(満期)まで金利は変動しません。年月が経過して、世の中の金利が年3%になると、年1%の債券を持っている人が誰かに売却しようとしても、世の中の人は年3%の金利の債券が普通に手に入るわけですから、誰も年1%の債券など買ってくれません。そのため、年1%の債券を売却するにはバーゲンする(安く売る)ことになります。
つまり、固定金利の債券を買い、その後世の中の金利が上昇すると、債券の値段は下がることになり、途中で売却すると元本割れが起こります。世の中の金利が大きく上昇するほど、債券の価格は大きく値下がりを起こします。もちろん、満期時には、発行体が安泰であれば額面金額は戻りますが、「金利が上昇したので満期までに他のよい金利の金融商品に乗り換えよう」と持っている債券を売却すると損失が出る可能性が高くなるわけです。
こんな中、好条件の債券が生み出されました。これが個人向け国債(変動金利型)です。
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