事態をどう見極めるか
株価を見るのは、売るタイミングを判断するため。企業の行く末は、企業の対応やニュースを見て総合的に判断しましょう |
製品不良によるリコールなどの場合、「社会への影響、被害の大きさ」「その企業自体に与える影響」などに注目します。たとえば、ソニーのリチウム電池のリコール。大きく報じられ、リコール費用も莫大な額と思われましたが、「ソニーという企業の大きさや体力、他の製品や事業の状況、業界の将来性などから見て、最悪の事態にはならないだろう」と予想できました。むしろ、リコール後の株価急落時は「株の買い時」だという判断もできたわけです。
しかし、これがソニーではなく、リチウム電池専門メーカーだったらどうでしょうか。商品の信頼性が損なわれてその後の売り上げが落ち込み、リコール費用ものしかかって、業績が悪化……。倒産に至らないまでも、影響は大きく、長引くでしょう。ダメージ軽減を検討すべきだと思います。
不祥事発覚後の企業の対応を見る!
製品不良よりも問題なのは、「不祥事」です。不二家のように、「事業の根幹にかかわる部分」で「長期に渡って」「企業ぐるみで」行われていた不正の場合、その影響ははかりしれません。企業みずから、一から出直すために「廃業」や「上場廃止」の道を選ぶ場合もあるでしょう。これは、事件発覚後の企業の対応や周辺の動向を見守りながら、判断していくしかありません。周辺の動向とは、不二家の場合なら、小売店が商品の扱いを再開してくれるかどうか、救済策があるかどうかなどです。
不二家の問題はまだ現在進行形なので不確実な部分も多いのですが、迅速なトップの交代や、他の菓子メーカーによる品質管理面での支援・業務提携、銀行による支援が検討されています。その動きを見ている限り、廃業の方向には向かっていないと考えられます。今後は、その支援が実行されるようになるのか、不二家自体がきちんとした具体策を示せるかどうか、投資家は注意深く見守っていく必要があります。
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