お布施は40~60万円。戒名によってはそれ以上も
ガイド:平均的な葬儀で200万円プラスお布施、香典返しとのことでした。では、お布施について教えてください。
市川さん:
お布施は寺院や宗派などによって変わってきますが、一般的な戒名と2日間の読経で40~60万円です。
ガイド:
お布施は寺院や宗派、お寺との付き合い方で値段が変わる。一番差が出るのが戒名。高位な戒名をつけてもらうには、高額なお布施が必要 |
市川さん:
お布施は、その寺院がある地域、宗派、住職の考え方、寺院の格式、これまでのその寺院との付き合い方などで大きく変わってくるものです。物価の安い地方であったり、継続的に寺院へのお布施を行なっていた場合などはもっと安くなる場合もあります。 平均的な金額としては、40~60万円です。
高位の戒名はもっと高くなります。 一般的な戒名は「○○信士(信女)」で40~60万円程度、その上の位は「○○居士:こじ(大姉:だいし)」で、60~80万円程度、「院」という一文字が入る「院号」は、お寺に大きく貢献した人にしか与えられない位ですので、普通であれば100万円以上します。
ガイド:
では、香典返しはどれくらいのかかるのでしょうか?
市川さん:
香典返しは、いただいた香典額の1/2~1/3程度の金額の品をお返しします。
家族葬でも100万円超!
ガイド:広告などで見かける、家族だけで見送る「家族葬」。低価格で出来るとアピールしているが、実際は? |
市川さん:
今多く聞かれている「密葬・家族葬」とは、対外的なお付き合いの方々へ参列していただく「一般葬」に比べて、家族や親族など「身内」だけで行なう葬儀のことを指します。密葬・家族葬というスタイルではなく、葬儀の大きさ(規模)を指すものです。
明確な定義はありませんが、親族や特に親しい友人までお知らせするのが「密葬」、もっと範囲を狭めて家族だけで見送るのが「家族葬」と考えて良いでしょう。
「密葬」とは、本来対外的な方々とのお別れをする「本葬」ありきのものでしたが近年は密葬のみが一人歩きをしている状態で、本葬を行なう方のほうが少数派になっているのが現状です。「家族葬」とは、ある葬儀社が打ち出した密葬を行なうプランの名前だったのですが、これも名前だけが一人歩きをして全国的に広まったものです。
費用に関しては、参列者が少ない分、実費費用が軽減でき、そのうえ、式場も大人数に対応する必要がありませんので、小さな式場でよく、したがって祭壇も小さなもので間に合いますので、規模に比例して葬儀費用も軽減できます。祭壇を飾らないケースも多くありますよ。
だいたい総額で120万円~150万円(+お布施)が平均の価格帯です。祭壇を飾らない場合は100万円以下で行うこともできます。
ガイド:
え? それでも、100万円以上もかかるのですか! パンフレットなどを見て、30万円くらいで出来ると思っていました。実際のところ、家族だけで30万円というのは無理なんでしょうか?
市川さん:
パンフレットなどに書いてある金額は、先だって申し上げた「葬儀一式」の費用のみのことがほとんどで、葬儀に必要な全ては含まれていません。
30万円ですと、火葬だけをする「直葬:じきそう」が精一杯です。棺、ご遺体の保全処置、搬送車両、霊柩車、火葬料金、骨壷、人件費、家族の飲食などで、だいたい25万円くらいですから、お写真やお別れのお花を用意すると、すぐに30万円かかってしまいます。
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