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子どものアルバイト収入は、親の扶養控除の範囲から外れないように注意
主婦のパートなどでよくいわれる「103万円の壁」。この壁を越えなければ(給与収入が年収103万円までなら)、主婦が夫の扶養の範囲内におさまるように働くことができ、専業主婦のケースと同様に夫の所得税などを低く抑えられるというものです。この話、主婦だけではなく学生のアルバイトにもいえます。アルバイトに精を出したら、親の税金が増えた……ということも。そこで今回は、学生のアルバイトと扶養の関係についてご紹介します。
【子どもの扶養控除103万円の壁を動画で解説】
学生のアルバイト収入も扶養範囲内の年収であれば扶養控除が適用
所得税や住民税の計算をする時、養っている家族が何人いるかで税金が考慮されています。いわゆる人的控除といわれるもので、扶養家族が多いほど税金が安くなるというものです。人的控除には、配偶者に適用される「配偶者控除」、扶養親族に適用される「扶養控除」があります。これらはいずれも給与収入であれば年収103万円以下の配偶者や親族であれば適用されます。給与年収が103万円以下の子どもを扶養していれば、扶養家族としてカウントできるのです。その結果、父(もしくは母)の所得税や住民税は安くなります。
16歳から扶養控除、19歳から23歳は特定扶養親族として控除が
この扶養控除ですが、子どもが16歳未満なら扶養控除は適用されません。16歳より扶養控除が認められます。また19歳以上23歳未満の扶養家族は「特定扶養親族」として、さらに多くの控除が認められます。この特定扶養親族は、その年の12月31日時点での子どもの年齢で判断されます。この控除ですが、子どものアルバイトが給与年収103万円を超えた段階で適用されなくなります。教育費がピークの時期に、家計には厳しいですよね。子どもの年齢とアルバイト収入額で親の税金が変わる
■子どもの給与収入103万円以下の時の所得税扶養控除額一覧子どもの年齢と給与年収103万円以下の時に親が受けられる所得税の扶養控除額額の一覧(平成23年分以後)
※1. 所得税軽減額は、親の所得税の税率が20%と想定して計算
※2. 子どもの年齢はその年の12月31日時点
※3. 復興特別所得税は考慮せず
子の年齢が16歳以上19歳未満の時は、控除額が38万円。所得税の税率が20%の時は、実際に控除される税額は7万6000円となります。
子の年齢が19歳以上23歳未満になると「特定扶養親族」が適用され、控除額が63万円にアップします。税率20%であれば、減額される金額は12万6000円。子の年齢が19歳未満の時と比べると、年間5万円も所得税が減るということですね。
ただし、この扶養親族が適用されるのには条件があります。これが所得金額が48万円以下であること。給与収入であれば、年収に換算すると103万円以下となります。給与でいえば年収103万円を超えた段階で、控除額がゼロになります。今まで控除されていた金額が全てゼロになってしまうということですね。
家庭教師などは事業所得として別に計算
今まで説明してきた「年収103万円」ですが、これは給与収入の場合です。例えば、直接契約している家庭教師などは給与収入・給与所得になりません。この場合は、「事業所得」または「雑所得」として計算されます。これらの場合は、年所得48万円を超えると、控除からはずれますのでご注意を(また学生本人も確定申告をする必要があります)。ただし、交通費や書籍代、文房具など必要経費として認められれば収入からひくことができます。必要経費をひいて所得が48万円以下であれば、扶養控除が適用されることになります。
同じ家庭教師でも、派遣会社などに登録して給与としてアルバイト代をもらっている場合は、給与収入になります。この場合は、年収103万円がボーダーになります。ここで年収や年間所得というのは、1月1日から12月31日の1年間での収入や所得になりますのでご注意ください。
このように「年収103万円」というのは、主婦だけでなく学生アルバイトでも考えないといけないラインです。あとから、知らなかった……とならないようにしてくださいね。