年収が高くてもお金が手元に残らない、ある共通の習慣
派遣社員のA子さん23才。外資系企業にお勤めのB子さん。この2人の収入は3倍以上の差がありますが、偶然にも同じお金の悩みを抱えていました。その悩みとは、手元にお金が残らないこと。話を聞くと、この2人ののお金が手元に残らない理由は、ある共通の習慣があったからでした。断れないA子さん
派遣社員のA子さんの手取りのお給料は18万円。一人暮らしで、半分が家賃に消え、残りの9万円でやりくりしています。お米を会社の上司にもらったり、自炊を心がけるなど努力はしているのですが、お金が手元に残りません。「お店に入ると断れないんです。だから、本当に欲しいものがある時しかお店に入らないんですけど。このコートも予算1万円のつもりでお店に入ったら、まず店員さんに着ていた服をほめられて、他の店員さん2人にも『最後の1点です』『お似合いですよ』って言われて、逃げられなくなって……。結局3万円だったんですが、買っちゃいました」
A子さんは、お金が貯まらない原因は自分の意志の弱さだと思っていました。店員さんに囲まれると断れないので、予算をオーバーしてもつい買ってしまうと。断れない人に、わたしはマネーカウンセリングで「断るセリフ」を覚えてもらっています。A子さんにもいくつかアドバイスしました。その中でA子さんが気に入ったセリフは、
「たくさん試着させていただいて、ありがとうございます。せっかくなので、ちょっと他も見てみますね。もし、売れちゃったら縁がなかったとあきらめます!」
これなら「売れちゃいますよ!」の攻撃もかわせます。他のお店も見ながらクールダウンして、よく考えることが大切です。でも、A子さんの3万円のコートは、とっても素敵だったので「こんな高いのを買っちゃった」と思うのではなく、いいコートを買ったんだから頑張ってお仕事しよう!と思ってくださいとお話ししました。
そして、もう1つ。お金が手元に残らない訳が、他にあることもお伝えしました。
給料日前ピンチの原因はコレ!
A子さんは、給料日前になると「ドキドキ」だと言います。では、そのドキドキが給料日の何日前から始まるかを聞いてみました。「給料日の後、家賃と光熱費とクレジットカードの支払いが終わると、もう次の給料日までドキドキです」
給料日前のドキドキではなく、給料日が終わったらもうドキドキが始まっていたのでした。つまり、ホッとするのは給料日直後だけです。どうしてこんなことになったのでしょう。
「光熱費が引き落とせなくなると困るから、貯金がなくなるとクレジットカードで買い物をして、何とか給料日まで生活して、それでクレジットカードの買い物も増えちゃうから支払いも多くなって……」
これでは、お金は残りません。一番の問題は、貯金がない時にクレジットカードで買い物をしてしまうことだったのです。
クレジットカード払いとは、買い物をする時にカード会社にお金を立て替えてもらって、後払いするということ。つまり、お金を借りていることになります。ただ、キャッシングをする訳ではないので、お金を借りているという意識はありません。A子さんの場合はその場しのぎの自転車操業で、お金の問題を先送りにしていたのでした。
必ずお金は貯まります
「キャッシングやリボじゃないから、いいと思っていました」現状で、キャッシングやリボ払いをすると、今度は返済のために新たな借金をしなくてはいけなくなりますので、絶対にやってはいけません。例えば、派遣のお仕事の契約が終わり、次の派遣まで期間が空いてしまったらどうなるでしょう?
「出て行くお金だけ増えて、もっと怖いことになりますね。これでは、転職もできません」
A子さんは、手取りが少ないからとお金を貯めるのをあきらめていましたが、つい買ってしまう、お菓子や飲み物、雑貨、デート代など見直す点はありそうです。まずは口座からの引き落としが一時的に増えた時にも慌てないように、定期預金を作ると普通預金の残高不足でも自動融資をしてくれるので、安心です。
「まずは、給料日に2000円、3000円でもいいから積み立てます」
そして、一番大切なのは自転車操業をストップさせるために、カードでの買い物をやめることです。すでに今月はカードの支払いで現金が手元に残らないことが確定してるので、2カ月計画で支出の無駄を見直し、現金だけで買い物をしてもらうことにしました。
「これ以上カードの支払いが増えたらどうしよう、と思ってました。でも、無駄な出費をしなければカードを使わなくても生活できることがわかったので、頑張ります」
A子さんは、子どもが大好き。将来は子どもに関連する仕事か、教育関係の仕事に転職を希望しています。自分のキャリアアップのためにも、自分に投資できるようなマネープランを早く身につけたいですね。
大きな勘違い「リボ払いは家計管理に役立つ?」
38才、独身のB子さんの年収は700万円。お金が残らないような収入ではありませんが、お金が右から左に消えていき、口座にとどまっていないそうです。「親孝行のつもりで払っている母のマンションのローンの返済7万円と、自分の家賃15万円。生活費はどれくらい使っているかわかりません」
残りのお金は、公共料金、昼と夜の外食費、そしてクレジットカードの支払いに消えているそうです。問題はやはり、クレジットカードにありました。転職をして収入がアップしたころから、クレジットカードで買い物をする機会が増え、カードは3枚もっています。
「支払いが大変な時があって、友人に相談するとリボ払いにすると家計管理しやすくなると言われて、それから2枚のカードはリボ払いです」
リボ払いとは、どんなに買い物をしても毎月1万円、2万円といった決まった額しか引き落とされず、残高は翌月以降に繰り越されます。もちろん、その間には15%の高い利息がつきます。
例えば、あるカードで100万円のお買い物をして、残高スライドリボ払いを選択すると、最初の返済額は3万円になります。残高が減ると毎月の返済額も減るので、返済が終わるまでになんと167カ月! 14年近くかかってしまうのです。
頑張って毎月5万円ずつ元金を返済したとしても2年かかり、トータルで約17万円の利息を払うことになります。返済しながらさらに買い物を続けると、延々返済が続くことになります。
将来が不安、何から始めたらいい?
幸いB子さんは、仕事もうまく行っていて、返済も滞ったことがないので多重債務者にはならずにすみましたが、リボ払いのカードはおそらく限度額まで使っているとのこと。このまま行くと、働いても働いてもカードの支払いと返済に追われ、自分の将来のためのお金を貯めるチャンスを逃してしまいます。「何とか返済はできているのですが、老後のことを考えると、このまま独身だったら不安だと思って……」
B子さんにこんな話をしました。もし、カードの支払いに回っているお金を、10万円ずつ貯めるとしたら、25年後には3000万円になります。それを、リボ払いの金利のおよそ半分の8%で運用したら税引き前で9500万円になります。
「9500万円ですか!? 950万円じゃなくて?」
そうです、1億円に近い9500万円です。B子さんが将来金の卵を産むニワトリを今食べないで大切に育てるには、これ以上カードの利用額を増やさないことです。カードを使わずに、その都度現金で買い物するようにしてください。
B子さんは今まで自己投資にはお金は惜しまず、仕事が快適にできるならとマッサージやヒーリング、占いにも通いました。自宅でも快適が大事と冬も半袖でいられるほど部屋を暑くし、光熱費も気にしたことがありません。でも本当は快適に過ごすために、半袖になるほど暑くする必要はありません。快適と無駄の違いをしっかり理解して、1年半でお金を貯めるしくみを作る計画を立てました。
いかがでしたか? まったくタイプの違う2人でしたが、キャッシュがないからカードで払う、またキャッシュがなくなる、お金が貯まらないという問題は一緒でした。カードの支払いに抵抗がなくなっている人は要注意です。
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