減り続ける国内新車販売台数 |
減り続ける国内新車販売
日本自動車販売協会連合会が発表したデータによると、国内の新車販売台数は減り続けており、24ヶ月連続の減少となっています。原因としては、消費者がお金の使い道のメリハリをきかせるようになり、お金を使う分野と使わない分野を明確に区分けしてきたことが挙げられます。
最近では旅行や外食などレジャー関連の支出は一部回復の兆しが見えています。車はレジャー消費の分野と重なるので、その支出拡大の恩恵を受けてもよさそうなものですが、旅行や外食は日々消費するものですが、車は耐久消費財なので、すでに保有している家庭も多く、買い替え需要を喚起しないことには販売につながりません。その点、車を買い替えるぐらいならば、旅行や外食でリッチに楽しもうと考える人が多いのでしょう。
他方、同じ耐久消費財でも、家電商品ではチョイ高めの高機能商品の売れ行きが順調です。しかし、車の場合は、車自体の高機能化、高性能化という点では、すでに飽和した印象があります。機能面では、買い替え需要を喚起するほどの目新しさを訴求できていないことが、新車販売台数の減少という結果になっています。
また、原油高によるガソリン価格の上昇も心理的にネガティブに働いています。車を持っていても、ガソリン代がかかるので使いたくないのです。これでは、車を持つ、もしくは買い換えるという欲求が盛り上がってこないのもうなずけます。
海外での売上げに期待したいところではあるが
車の買い替え需要を喚起するには、消費の盛り上がりやガソリン価格の下落など、各自動車メーカー個別の努力ではどうにもならない分野に期待するしかない面も多分にあります。しかし、自動車メーカーとしては、ただ黙って見過ごすわけには行きません。新車が国内で売れないならば、ほかの分野で稼ぐ必要があります。
ひとつには海外での売り上げ増です。ただ、これに関しては、今に始まったことではなく、従来から日本の自動車メーカーは海外での売上を伸ばしてきました。2007年上半期のアメリカでの自動車販売台数はトヨタがフォードを抜き、2位になりました。これに円安が追い風となって、自動車メーカーの業績は今のところ好調に推移しています。しかし、アメリカ市場では貿易摩擦の再燃が懸念されるところであり、また、為替が円高に戻った場合の収益に与えるネガティブインパクトも心配です。そういう観点からも、ある程度国内の販売台数が堅調であることが望ましいのですが、その打開の糸口が見えないのであれば、自動車以外の周辺分野の収益向上に取り組むしかありません。
車が売れなければ、周辺分野で稼ぐしかない>>