今回のニューヨーク同時テロの被害に対して、保険会社から支払われる保険金等の総額は、400億ドルに達すると見込まれています。米国では、今回のテロの被害により巨額の保険金の支払を余儀なくされる保険業界に対して財政援助を行う方針を固めていて、10月中旬には発表される見込みであると報じられています。(日本の保険会社の支払い額は、200億円程度と見られています)
また、ニューヨークとワシントンの被害は、復興費用や犠牲者への補償などを合わせたコストは最大で1千億ドルに達するとも見込まれており、保険会社の経営への影響は甚大であるとも考えられています。
保険会社は、万一の災害に対する補償を提供するために、安定した経営を行う必要があります。
しかし、巨大タンカーや石油コンビナートのような保険金額の高額な契約を引き受けている場合や地震や台風あるいは航空機の墜落などで同時に多くの契約に事故が発生する場合、高額の保険金を支払う可能性があります。損害保険は、一定の偶然の事故から生じる損害を補償するために、統計的基礎(大数の法則)によって保険料を算出し、加入者から保険料を集めることにより、万一事故が発生して損害を被った場合に保険会社が契約者へ保険金を支払うしくみです。損害保険は発生するか否か不確実な災害や事故に対する補償であるため、今回のテロの被害のような巨額の保険金等を支払うこととなるような、事業成績を不安定にする要因を常に抱えています。
そこで損害保険会社は、高額の保険金支払いに見舞われた場合に、どの程度までの損害であれば経営に影響がないか判断したうえで、引き受けた保険契約上の責任の一部または全部を他の保険会社に引き受けてもらうことが必要となるわけです。
この保険契約が「再保険」です。安定した経営を行っていくうえで、統計的基礎(大数の法則)外の損害に対して備える必要があり、再保険により保険会社もリスク分散を図っています。
生命保険についても、生命保険会社が引き受けた生命保険契約の一部または全部を他の保険会社に引き受けてもらうことにより、リスクの分散を図っています。
今回のテロの被害の影響により、この再保険の保険料の値上げが行われるといわれています。また、補償の限度額や補償の範囲についても見直されていくようです。それらの再保険の条件は、保険会社同士の相対で決められていくのですが、大筋は毎年この時期(10月)に保険会社や再保険会社が集まり決められていきます。今年もドイツで行われる集まりで、テロの被害についての扱いについてどうするかなどが話し合われる見込みです。
再保険料の値上げは、場合によっては我々が支払う保険料の値上げにも繋がる可能性もあります。現在、戦争や動乱での被害については保険契約において免責となっており、これにテロ被害が加えられる可能性もあるのです。
保険契約時に渡される約款の中に免責条項が記載されています。新たに保険契約をする際は、約款で確認してください。
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