大手生命保険会社各社は2002年度から、年金資金を受託運用している団体年金保険について、契約時に顧客に約束する利回り(予定利率)を現行の年1.5%から0.5%程度引き下げ、年1.0%以下とする方向で検討にはいっていると11月17日付けの「日本経済新聞」に記事として掲載されていました。

予定利率が見直されることにより、退職金制度や退職年金制度のための資金を団体年金保険で運用している企業にとって、負担する掛け金の増加や将来の従業員への給付額の減額につながる可能性がありそうです。
退職金制度や退職年金制度のある企業の多くは、その給付原資を前もって準備するために、資金を毎年積み立てています。毎年の負担額(積立額)は、退職金や退職年金制度の運営上支障が起こらないようにするために、必要資金(将来の給付予定額)から逆算して当該年度の必要積立額が算出されています。

今年の退職金や退職年金の給付のために必要となる資金を今年用意するのではなく、制度全体として今年積み立てて置かなければならない残高を計算し、前もって準備されているのです。何年も先の給付のための資金を前もって準備するので、準備期間中の運用成果をあらかじめ予想し、その予想している運用率を割り引いて今年の年金資金の残高として計算される仕組みになっているため、予定利率の変更は「今年の必要年金資金残高」に影響が出てきます。

予定利率の変更で毎年の負担が変わる例として、100万円を10年で貯める場合を例にとって説明しますと、貯めていく資金を金融商品や金融機関に預けることなく、運用せず手元においておくような場合、積み立てていく資金に利息や運用益は発生しません。(運用成果が無い場合)そのため、10年で100万円を貯めていく場合、毎年10万円づつ貯めていかなければなりません。運用成果を見込んでいないため、毎年の負担さえできれば必ず100万円貯めることができます。

では仮に、年間10%で運用できることを前提にした場合はどうでしょう。100万円を10年で貯めていくために毎年必要となる積立額は6万円弱となります。10万円づつ積み立てていかなければならなかった毎年の積立額が、運用を前提にすることによって(例では、年間10%の運用率)毎年の負担は、6万円弱で間に合うことになります。当初より運用成果を前提にしているため、目標に達成するかどうかは、毎年の負担ができたとしても不確定です。