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終身医療保険を考える

進む入院日数の短期化、先進医療特約などの登場で、多様化が進んできた「終身医療保険」にスポットをあて、解説します。

長島 良介

執筆者:長島 良介

生命保険ガイド

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終身医療保険とは

医療保険について話し合ってみましょう

医療保険について話し合ってみましょう

終身医療保険とは、保険期間、すなわち保障が続く期間が一生涯(=終身)の、主に入院時に入院給付金が支払われる保険のことです。入院給付金の日額に対して10倍から20倍、40倍の金額の手術給付金も支払われます(一律20倍という商品も増えてきました)。

終身医療保険のメリット

  • ほぼ確実に入院給付金が受け取れる
終身医療保険の最も大きなメリットは、高齢時になればなるほど可能性の高まる入院のリスクに備えられるということです。

60歳手前で入院を経験する人はごくわずかといえます。もちろん、若いうちから大病を患ったり、大きなけが等で入院する人もいます。しかし実際のところ、高齢になるまでは医療保険の厄介になることは非常に少ないといえます。

  • 高齢時の保険料負担が少ない
終身医療保険の保険料は途中で契約内容を変更しない限り変わることはありません。若い時に加入した場合は保険料が安く、そのまま契約を続けた場合、高齢時の保険料負担が軽くなります。

また、保険料を短期(保険期間より短い期間)で支払えば、高齢時に保険料を負担しなくても医療の保障が得られます。今後、老齢年金の支給が厳しくなることを考えれば安心といえるでしょう。

終身医療保険のデメリット

  • インフレになると、給付金の価値が減少
物価が上がっていくのが「インフレ」。インフレはお金の価値が減ってしまうこと。現在の水準では1万円は1万円ですが、しかしインフレが進むと、今の1万円は8000円の価値になってしまうかもしれません。しかし、物価が高くなるということは、支払っている保険料が少なくて済むわけです。影響がまともにくるかといえば、そうでもなさそうです。

反対に、ここ数年続いているデフレのまま進めば、給付金の価値は上がることになります。

しかしながら、インフレやデフレは現時点では予測にすぎません。これから先、数10年後の未来は誰にもわからないということを念頭に考えるべきです。

  • 高齢時にも保険料を負担する
安いとはいえ終身払いを選択すると、保険料は死ぬまで支払わなければいけません。収入も年金に頼っている状態では、保険料の支払が続くと厳しいかもしれません。

  • 受け取る金額が少ない
最近の医療保険は、1回の入院給付限度日数が60日(通算1000日)に設定されているものが多いです。入院日額5000円の医療保険に加入している人の場合、手術をすれば手術給付金も支払われますが、計算してみると最大でも30万円(5000円×60日)となります。

手術給付金が20倍出たとしても、合計で40万円の受け取りになります。この金額なら貯蓄で十分にカバーできるかもしれません。

  • 入院日数の短期化
健康保険制度の窮状、医療保険制度の改正など、今後も入院はますます短期化していきます。積極的な治療が長い期間を要する病気もありますが、確率としてはかなり低くなっているという現状があります。

ガン治療ひとつ見ても、以前は抗がん剤や放射線治療は入院を要するものでした。最近は身体に負担のかからない治療法が確立され、抗がん剤治療や放射線治療は、通院が当たり前になってきているようです。

ガイドの父は6年前にがんで亡くなりました。亡くなった当時入院していた、都内の某大学病院の先生から、手術後意識がまだ戻る前に「積極的な治療はこれ以上は無理です、自宅でも治療可能です。往診にはしかるべき医師を紹介しますので、自宅での療養をお願いします」と言われ、唖然としたことがありました。6年前でこの状況ですから、現在は更に進んでいるでしょう。

こうした現状を踏まえると、入院給付金が必要なくなる日は、そう遠くないかもしれません。

>>定期医療保険、共済の特徴とは? 次のページで解説します。


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