西暦3300年には日本人がいなくなる!?
日本は深刻な少子化の状態にあります。かつては「合計特殊出生率」が4.5以上のときもあったものが、1975年に2.0を割り、2004年には1.29まで下がっています。その後団塊ジュニア世代が子を持つようになってやや改善し、2010年は1.37でした。あくまでも2004年の 1.29を前提にしたものですが、もしずっと1.29のまま出生率が改善されなかった場合、西暦3300年には日本人はゼロになると試算されています。外国人を受け入れるなどすれば状況は違ってくるのかもしれませんが…。
少子化の弊害が目に見えるようになり、政府もようやく真剣に取り組み始めた感がありますが、しかし、出生率が改善したとして、その効果が出るのは一世代先。改善の効果は50年、60年先にならないと見えてこないようです。
今さらですが、もっと早くに手を打つべきでしたよね。
少子化改善国では婚外子が増加
北欧などには少子化が改善された国もありますが、共通しているのは、いわゆる婚外子が増えたことです。事実婚や同棲も一般化していて、そうしたカップルが法的な結婚をしないまま子を持つ傾向が強まっているのです。
日本の場合、法的な結婚をしない男女間の出生割合はたったの1.9%。それに対し、スウェーデン56.0%、デンマーク44.9%、フランス44.3%(いずれも2003年のデータ)と非常に高いのです。
法的な結婚をしなくても、たとえばスウェーデンの場合には、同棲カップルに住居や家財の分与のルールを定めた「サムボ法」という法律があったり、フランスでも、一定期間以上の同棲カップルに法律婚と同様の権利を認める「PACS法」などがあって、「ゆるやかな結婚」を支えています。それが婚外子が増えた理由の1つのようです。
もちろん、児童手当の充実や税金の控除をはじめ、子を持つ世帯へのサポートなど、複合的な理由で改善されてきたのだと思われます。
シングルマザー・シングルファザーでも育て易い環境に!
前述のように、日本では、子供を持つ=法的に結婚する、がほとんどです。「結婚観」は文化的な背景もあるので急には変えられませんので、それなら、シングルマザーやシングルファザーなどのひとり親でも、不自由なく子育てができる状態になれば、もっと安心して子供を持てるはずです。
元の夫から養育費をもらうことを啓発することも大事なのはわかりますが、その夫が養育費を払える状況にない例も多く、母子家庭の経済状況は改善の兆しが見えないどころか、悪化しています。
子どもの養育や教育にお金がかからない状況になるか、児童扶養手当を拡充するか。ひとり親でも子育てがしやすい環境こそ、出生率を上げるものではないでしょうか。
ひとり親にとって子育てしやすい環境は、両親がそろっている世帯にとっても育て易いはずです。
ニッポン少子化のジレンマ
日本には「ゆるやかな結婚」を容認する社会背景も、ましてやサポートする制度もなく、ほとんどの人が法的な結婚のもとでしか子を持たない状況にあります。それなのに、その前提となる法的結婚を選択しない人々が増えているとすれば、子供が増える余地はあまりないということになります。
「子供はお金がかかるから産まない」
「お金がかかるから1人だけでいい」
そういった声も聞きますが、それ以前に、子供を持つ選択をする前の「結婚」にたどり着かない(結婚を選ばない?)人も多いのです。
あるいは、たどり着いてもやめてしまう人ややめざるを得ない人もいます。