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亡くなった父に借金が!どうすれば良い?

相続放棄ができる期間はたったの3ヶ月。人が亡くなるとお葬式、初七日、四十九日などバタバタしますから、早めの行動が大切。相続放棄をしなかったばかりに、払わなくて済んだ借金を払う羽目になりませんように。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

人が亡くなると、お葬式、初七日、四十九日とバタバタしますね。そんなとき、故人に借金があることが判明しました。今回は、こんなケースでの相談者と弁護士のやりとりを見てみることにしましょう。

亡き父に多額の借金があったというご相談

亡き父に多額の借金があったというご相談
相続放棄をすれば故人の借金を払う必要はありません。ただし、資産を相続することもできません。
相談者:先週、父が亡くなりました。すぐに実家に戻って、葬式を済ませ、いまは初七日でバタバタしています。そんな中、昨日、父宛てに債権回収会社から請求書が届きました。私はおどろいて、母に父が借金をしていたのかどうかを尋ねました。母によれば、父は事業がうまく回らなくなった頃に、かなりの借金をしたそうです。

そこで、本日、先生のところに相談におうかがいした次第です。私や母、兄弟たちは、父の借金を払わなければならないのでしょうか。

弁護士:相続放棄という手続きをとれば、借金を相続しなくて済みます。そこで、おうかがいしますけれども、お父様の借金はどのくらいありますか?

相談者:3000万円くらいあります。

弁護士:どんなところから借りていたのですか?

相談者:一番大きいものが、銀行からの事業資金の借入れです。これが2500万円くらいあります。次に大きいのは住宅ローンの残りです。これが400万円くらいあります。以前、父は住宅ローンを組んで自宅を購入したのですが、途中で返済できなくなり、結局、自宅を競売にかけられてしまいました。しかし、自宅を売却したにもかかわらず、住宅ローンが完済にならず、結局、400万円くらい借金だけが残ってしまったのです。この借金は、母が連帯保証人になっています。ちなみに、銀行の事業資金の借入れも、住宅ローンの残りも、いずれもすでに債権回収会社に譲渡されています。その他に、銀行のカードローンが100万円くらい残っています。

弁護士:銀行の借入れは、お父様が個人で直接借り入れたものですか?

相談者:いいえ、父の会社が借主で、父は連帯保証していました。

弁護士:会社はいまどうなっていますか?

相談者:もう5年くらい前から一切事業はおこなっていません。

弁護士:銀行のカードローンは、誰か連帯保証人になっていますか?

相談者:いいえ、連帯保証人はいません。

弁護士:お父様に資産はありますか。

相談者:いいえ、自宅を競売にかけられてしまったので、めぼしい資産は何もありません。

次のページでは、相続放棄の手続きについてのやりとりを見てみましょう。
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