別れ際、恋人から「今まであげたものを返せ」と言われたら?
別れた途端に「プレゼント返せ!」と言われたらショックですよね・・・。でも法的にはどうなの?
でも、別れたときに「もらったプレゼントを返せ!」といわれてしまったらどうしますか?
たとえばAさんという女性とBさんという男性が付き合っていたけれども、うまくいかなくなって別れてしまったケース。
元彼Bさんから突然「いままであげたプレゼントを返せ!返さないと裁判に訴えてやる!」なんて言われたらどうしたらいいと思いますか?
ずいぶんせこい要求だなぁ、とは思いますが、指輪やネックレスなど高価なプレゼントをあげたのに、別れてしまったとしたら、「いままであげたもの返して欲しい!」と言いたくなる男性Bさんの気持ちも分からないでもない・・・。
でも、もらったAさんの「いまさらどうして?もらったものは返す必要ないでしょ!」という気持ちも当然あるでしょう・・・。
それでは、法的には返さなければいけなのでしょうか?
プレゼントは贈与です!返す義務はない
上のケースで説明すると、女性Aさんが元彼Bさんからプレゼントをもらった場合、このプレゼントはBさんからAさんへの贈与(民法549条)ということになります。贈与というのは、
- 一方が自分の財産を相手方に無償で与えること
- その相手方がこれを承諾すること
そして、民法上、贈与の対象となるモノを相手方に渡してしまった場合には、贈与した人が受け取った人に対して、あとになって返還請求することは原則としてできなくなるのです。
したがって、Aさんは、基本的にはBさんにプレゼントを返す必要がないといえるでしょう。
ちょっと安心しましたか?
まだ渡されていないプレゼントはもらえません
原則返す必要はないです!安心しましたか?
というのは、民法上は、書面をつくっていない贈与契約は、まだ贈与をする人がその贈り物を渡していない場合には取り消すことができることになっています(550条)。
ですので、たとえば、さっきのケースで、元彼Bさんが女性Aさんに「今度、カルティエの時計をプレゼントするよ!」と口約束だけしていて、まだ実際にプレゼントをもらっていないケースでは、Bさんは「あのプレゼントの約束は“なし”にする」ということができるのです。
相手を騙してもらったプレゼントは返さないといけません
さらに、当然のことかもしれませんが、相手を騙してプレゼントをもらった場合には、返さないといけなくなります。たとえば、女性が男性とまったく結婚するつもりもないのに、その男性と付き合って、結婚をしたい男性に結婚する気があるそぶりでプレゼントをおねだりして、もらっていたようなケース。
このようなケースでは、結婚するからこそプレゼントをあげるのだというシチュエーションにあった場合には、プレゼントの贈与は詐欺(民法96条1項)にあたるとして、男性から女性に対してプレゼントの返還を求めることができるでしょう。
つまり、詐欺とは、相手をだまして、金銭などの財物もしくは財産上の利益を交付させることを言うのですが、これを行った場合には、民事的な責任だけでなく、詐欺罪(刑法246条)にあたるとして、刑法上10年以下の懲役で処罰される可能性があります。
というわけで、別れた彼氏から「あげたプレゼントを返せ!」といわれても、返す必要がない、というのが原則でしょう。もしものときにヒヤッとしないように押さえておきましょうね。
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