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「出てお行き、王妃は私よっ!」の巻 美しい城館(シャトウ)と女の戦い

貴婦人の城シュノンソー城からアネ城へ失意の帰郷。その美しい姿の中に秘められた絶世の美女ディアーヌとカトリーヌ・ド・メディシスのすさまじき女の戦いとは?

執筆者:赤木 滋生


優雅なフランスの城館(シャトウ)の中でもひときわ女性的な美しさを誇るシュノンソー城(王家の谷ロワール川流域のど真ん中)は国王アンリ2世が寵愛したディアーヌ・ポワティエのために心をこめて贈った物。

ところが、。国王の正妻はあの誇り高きメディチ家の娘カトリーヌ・ド・メディシス、妾にうつつをぬかしつれなくされた恨みはどんどんふくらみます。そんな折も折、彼女達の運命に大変な転機が訪れます。

  ■国王の彼女は20才も年上!?
  ■「出てお行き、王妃は私よっ!」
  ■アネ城と傷心を癒した鹿狩り




■国王の彼女は20才も年上!?
貴婦人の城と呼ばれシェールの川面に優雅な姿を映すシュノンソー城、その美しさはフランス、いや世界一とも言われます。しかし、その美しさとは裏腹に、この城には実にすさまじい女の戦いが隠されています。

そもそもこの城のもともとの主、ディアーヌ・ポワティエを愛したのはアンリ2世の父親フランソア1世。美しく、しかも知性あふれるディアーヌにもうぞっこん、死ぬまで彼女を愛し続けました。そしてフランソア1世の死と共に隠居生活に入るはずだったにもかかわらず、それを許さず自分のものにしようとしたのがアンリ2世だったんです。

え、アンリ2世ってフランソア1世の息子でしょ?・・・その通り、なんとディアーヌは20才も年上。にもかかわらずアンリの心をとらえて離さぬ美しさ、驚きですね。彼はディアーヌを妾としてシュノンソー城を与え、正妻カトリーヌには目もくれず、母と子ほどにもなる年の差をものともせず愛し続けました。

おかげで割を食ったのがアンリ2世の王妃(正妻)カトリーヌ・ド・メディシス。彼女は当時イタリアでも飛び抜けた名家、大富豪メディチ家の出身。洗練されたイタリアの豊かな暮らしの中で育ち、知性と教養を身につけた自尊心は大変な物、にもかかわらず政略結婚により結ばれた夫婦関係は最悪、ショモン城で夫に放ったらかされ面目丸つぶれでした。

■「出てお行き、王妃は私よっ!」
カトリーヌは芸術を愛し贅沢な暮らしに気を紛らしながらもしっかり王子はもうけ自分の地位の安定にはぬかりありません。そんな中、突如起こった悲劇の騎上槍試合。日頃から好戦的で勇猛果敢なアンリ2世とはいえ時には運命の女神に見放されることもあります。あわれ敗れたアンリ2世はこの時の思わぬ傷が元であっけなく死んでしまいます。これはチャンス!
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