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翻訳ソフトはこれからどんな進歩を遂げるのだろうか? 翻訳ソフトの機能・歴史・未来(2ページ目)

翻訳ソフトの機能・歴史・これからについて、エー・アイ・ソフト株式会社の翻訳プロダクト開発責任者玉川博康さんにお話を聞きました。

執筆者:川本 佐奈恵

-- 翻訳エンジンですが、初期の頃のものと比べてどのくらい進化しているのでしょうか?
玉川:文を解析して、ある解析構造を目的言語の解析構造に変換して、文を生成するという手法は基本的には現在も変わりません。

-- 基本的な手法は今も昔も変わりがない?
玉川:ええ。ただし、近年のハードウェアの発達やインターネットの発展によって、全体の翻訳精度は上がったと考えています。

-- 具体的にお願いします。
玉川:1. さまざまな言語現象が簡単に手に入る。
2. ハードウェアの遅さや、メモリの容量などで断念していた解析手法が可能になった
3. 長年のチューニングによって解析の精度が上がった
などの要因があります。

-- 翻訳エンジンの開発環境が整ってきたと。それでは最後の質問になりますが、翻訳ソフトは今後どのくらいの期間で、実用レベルから翻訳者レベルに達するのかお教えてください。
玉川:実用のレベルの解釈が様々ですが、現在においても完全な翻訳はできないまでも、ある程度の翻訳ができる(翻訳支援)レベルにあり、ホームページを閲覧する程度であれば、それに耐えうるレベルに達しつつあると理解しています。翻訳者のレベルに達するのは10~20年と一般には想定されています。

-- 翻訳者のレベルに達するまでにクリアしなければならない問題は?
玉川:今のアルゴリズムでは、翻訳者のレベルに達することは多分無理だと考えています。翻訳者が翻訳する場合は、文の構造だけでなく、意味や背景知識やその文の書かれた状況など莫大な情報を駆使して翻訳しています。

-- 具体的には?
玉川:例えば、
「君は何にする?」
「私はうなぎ」
という文を翻訳する場合、人間なら、
「君は何にする?」という表現は、レストランなどでよく使う
「うなぎ」は食べることができる
「私=うなぎ」はこの状況では変だ
「食べ物としてうなぎを食べたい」と言っている
ということを一瞬に判断し、
I would like to eat Unajyuu.
などと翻訳します。

-- 単純な会話ですが、改めて言われると複雑ですね。
玉川:ええ、現在の翻訳ソフトでは、ここまではできません。このあたりの、知識をいかに獲得、利用していくかが今後の課題ですね。解決するのは非常に困難と言われていますが。

-- 今日はどうもありがとうございました。



多忙な身にもかかわらず、三回にわたりご協力してくださった玉川さんには、この場を借りてお礼を申し上げたい。

個人的にエー・アイ・ソフトの製品をいくつか使っているが、どれも使いやすいと感じるのは、玉川さんのようなスタッフが、開発に携わっているからなんだろうなと、取材後、つくづくと感じた。

取材協力
エー・アイ・ソフト株式会社


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