大学受験

共通テスト離れならぬ「共テスルー」がトレンドに!? 英語の“過去イチ長文化”に無理ゲーと受験生悲鳴

際限なく“長文化”する共通テスト。なかでも英語リーディングは、中間集計の平均点が過去最低で受験生からは悲痛な叫びが……。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

受験者数が減り続ける共通テスト。「共テスルー」がトレンドに!?

受験者数が減り続ける共通テスト

受験者数が減り続ける共通テスト

2024年の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)も問題文の“長文化”が話題になりました。なかでも英語リーディングは、さらに分量が増し、中間集計によると平均点は過去最低。受験生のSNSでは、叫びとも呼べる悲痛な書き込みが目立ちました。

2025年からは新課程で学んだ高校生が大学受験を迎えますが、さらに対策が厳しくなる共通テストに受験生はどう対処すればよいのでしょうか。
 

登場人物が3人の物語、丁寧に読む時間がないのに場面設定が複雑すぎ…

英語リーディングの第5問では、まき、たくや、かすみの3人の物語について出題されました。この問題に悲鳴があがった理由に、分量の多さと場面設定の複雑さがあります。

これまで本文は多くても2ページ程度(見開き1ページ分)だったのが、1ページ増え、まずはそこに絶望した受験生が少なくありませんでした。さらに、登場人物が3人という設定も問題を難しくさせています。回想シーンを経て、たくやとかすみがまきにサプライズをするのですが、限られた時間内に、英文のテキスト情報だけで、この設定を理解するのはかなりハードだったはずです。
 
そして、この問題を最も困難にさせているのが、本文全体を丁寧に読まないと解答根拠が見つからないことです。これまでの出題形式では、本文の記述に沿ってそのまま答えれば正解できました。しかし、この問題ではそのように答えると見事に誤答になります。 
【2024年大学入学共通テスト英語リーディング第5問】3ページに及ぶ、まき、たくや、かすみの三人の物語。しかも、解答根拠は本文全体を読まないと見つからないというこれまでになかった出題傾向に。

【2024年大学入学共通テスト英語リーディング第5問】3ページにおよぶ、まき、たくや、かすみの3人の物語。解答根拠は本文全体を読まないと見つからないというこれまでになかった出題傾向に(赤線は筆者による。赤丸は設問1の選択肢番号)。 

【2024年大学入学共通テスト英語リーディング第5問】(1)では「出来事が起きた順」に並べる問題では、出題傾向の変更に引っかかった受験生が少なくなかった。

【2024年大学入学共通テスト英語リーディング第5問】問1「出来事が起きた順」に並べる問題では、出題傾向の変更に引っかかった受験生が少なくなかった(赤線は筆者による。赤丸は設問1の選択肢番号)。


<第5問>
問1:出来事を4つ選び、起こった順に並べよ(設問の和訳は筆者による)
1. Kasumi becomes vice-president of her company.
2. Kasumi gets in touch with Takuya.
3. Maki gets her university degree.
4. Maki starts working in her family business.
5. Takuya is inspired to start his own business.
 
第5問の問1は、5つの選択肢のなかから4つの出来事を選び、起こった順に解答する問題です。本文の記述に沿って並びかえると「4→2→5→1」の順になります。ところが、これでは誤答になってしまいます。◆マーク以降が回想シーンになっているため、「2. Kasumi gets in touch with Takuya.(かすみがたくやと連絡を取る)」は最後になるからです。
 
というわけで、正解は「4→5→1→2」となります。

時間が足りないという思いから、ざっと読んだだけで回想シーンに気がつかなかった受験生は、見事にひっかかってしまったわけです。場面設定を理解するためには丁寧に読み込むことが必要ですが、そのように時間をかけてしまっては全部の問題を解くのが難しくなります。

受験生にとっては、まさにジレンマといえる問題だったわけです。
 

大学入試で問うべき力なのか、共通テストの出題傾向に疑問

このような出題形式では、「スキャニング(スキミング)力」、つまり必要な情報を短時間で見つける力が必要になります。しかし、そのような力を大学入試で問うべきなのかは大いに疑問が残ります。
 
ほとんどの受験生が「時間が足りなかった」と嘆くほど無理ゲーと化した共通テストの英語ですが、ほかにも数学や、今年は世界史などでも問題文の分量増加が顕著になっています。まさに際限なき長文化に、多くの受験生は困惑したことでしょう。
 
さらに2025年からは、新課程の高校生が大学受験を迎えます。国語ではいよいよ実用的な文章が追加され、「情報I」も必須科目となります。これまで以上に対策が困難になる共通テストに、受験生はどう対処すればいいのでしょうか。
 

共テ離れどころか「共テスルー」がトレンドに?

今後は、共通テスト離れを通り越して、「共テスルー」が顕著になるのではないかと考えています。 高2、高3で共通テストを受けるのをあきらめるというよりも、高1から共通テストを受けないと決める受験生が増えるのではないかということです。
 
というのも、今や受験生の2人に1人が「年内入試」と呼ばれる「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」を利用しています。次のグラフで示されているように、受験生の共テ離れの傾向は顕著に現れています。
コロナ禍もあり大学入試センター試験以降、受験生が減っている大学入学共通テスト。共テ離れどころか「共テスルー」が新たな大学受験対策になりつつある。

表:大学入試センター「センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数等の推移」より筆者作成

センター試験の最後の年に本試験の受験者数は約52.6万人だったのが、共通テストの初年度である2021年度は約48.2万人、昨年度(2023年度)は約47.0万人とたった3年間で約5.6万人も減少しています。コロナ禍も多少影響していると考えられますが、少子化とはいえ大学進学率が上昇し続けていることを考えると、受験生の共テ離れは明らかといえるでしょう。
 
これは、共通テストが必須ではない私立大学で「推薦組」と呼ばれる「年内入試」で入学する受験生が増えていることが関係しています。文科省の発表によると、私立大学の約6割が「年内入試組」となっています。
 
一方、国公立大学でも、実は共通テストを必須としない推薦型選抜が存在します。もちろん、合格するのは簡単ではありませんが、「共テスルー」できるという点で今後は注目を浴びるかもしれません。
 
塾・予備校業界の間では、今は国公立大学を目指すのなら、受験対策は高1から始めなければ間に合わないといわれています。今後はそのような受験生と、無理して共通テストの勉強をするより「年内入試」で早々に合格を決めてしまう受験生との二極化がより顕著になるかもしれません。

【参考】
2024年大学入学共通テスト試験問題
センター試験 志願者数・受験者数等の推移
受験者数・平均点の推移(本試験)大学入学共通テスト」
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