住宅ローンの借り換え・返済

金利上昇の今、変動金利から固定金利へ借り換えるべきか?

住宅ローンの固定金利が上昇傾向にある一方、変動金利はまだ上がっていない今、変動金利から固定金利へ借り換えるべきなのでしょうか。借り換えたときのメリットやデメリットも踏まえ、一緒に確認していきましょう。

執筆者:大島 浩之

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比較する女性

金利上昇の今、変動金利から固定金利へ借り換えるべきか?

住宅ローンの固定金利が上昇傾向にある一方、変動金利はまだ上がっていない今、変動金利から固定金利へ借り換えるべきなのでしょうか。借り換えたときのメリットやデメリットも踏まえ、一緒に確認していきましょう。

住宅ローンの固定金利は上昇傾向

住宅金融支援機構【フラット35】(融資率9割以下)の2023年12月の金利は、11月中旬以降にアメリカの利上げが打ち止めされるのではないかとの観測が広がったこともあり、結果的に日本国内の長期金利が低下したため、前月と比べて0.05%低い1.91%となりました。

もっとも、2023年8月に1.72%だった金利が、3カ月連続で0.08%ずつ上昇し、11月には1.96%であったことから、固定金利については上昇傾向にあるといえます。
フラット35の金利推移

住宅金融支援機構HPより引用「フラット35の金利推移」2023年12月1日現在

このように固定金利が上昇傾向にある一方、変動金利はまだ上がっていない今、変動金利から固定金利へ借り換えるべきなのかをメリットとデメリットとを整理しながら、確認していきましょう。

固定金利に借り換えた場合の月々の返済額の負担増、安く感じますか?

例えば、3000万円を変動金利0.5%、返済期間30年で借りたと想定します。返済開始から5年後に1.91%の固定金利に借り換える場合、月々の返済額は8万9756円から10万6160円となり、1万6404円の負担増になります。

借り換えたときのメリットとデメリットも踏まえ、この負担増を安いものと捉えるべきなのでしょうか、それとも高いと評価されてしまうものなのでしょうか。

●変動金利から固定金利へ借り換えるメリット
月々の返済額が負担増になるとはいえ、今後の金利上昇リスクから解放され、変動金利がいつ上がるのか、どれくらいまで上がってしまうのかと、やきもきせずに済むため、精神衛生上にも、良いといえます。

また、固定金利に借り換えれば、将来的にも月々の返済額が一定になるため、教育費や老後資金などのライフプランに合わせた計画的な返済が可能となります。

固定金利が上昇傾向にあるとはいえ、2%、3%と上昇しないうちに、特に残債が多くある場合や返済期間が長い場合、金利上昇に対応できる貯蓄が少ない場合には、借り換えを検討することになるでしょう。

●変動金利から固定金利へ借り換えるデメリット
一方、月々の返済額が増えてしまうことは、特にこれまで変動金利の超低金利の恩恵を受けていた方にとっては、家計の痛手です。

また、借り換えたものの、結果的に変動金利が固定金利の水準まで上昇しなかったり、上昇したとしても、総返済額では変動金利のままのほうが安かったりするという場合も考えられ、状況によっては、総返済額の負担増という「損」を確定させることになってしまいます。

結局、変動金利はいつ上がるのか

デメリットがあるにせよ、借り換えを検討する方にとっては、借り換えのタイミングが今なのかも問題となります。

例えば、もう数年は日本銀行の金融緩和政策が維持されるのではないかと考え、変動金利は上がったとしてもそれほど上がらないと考えるのであれば、借り換えのタイミングはまだ先になるでしょう。

ただその場合にも、固定金利だけは大幅に上がっている可能性もあるため、固定金利に借り換えた場合の月々の返済額の負担がさらに増すことを考慮しなければなりません。

金利上昇について言えることは、現在のように為替が円安であり、国内物価も上昇している現状が続くと、変動金利が上昇する可能性は否定できないということだけです。

もっとも、「賃金上昇を伴う」物価上昇が実現されない限り、日銀の金融緩和政策が維持されると考えられるため、上昇したとしても、まだ今後も超低金利が続くのではないでしょうか。

まとめ

金利の動向の予想は難しく、さらに各金融機関によって、金利を上げるのか、維持するのか、下げるのかの判断が異なることすらあります。そのため今後の金利上昇リスクが不安なのであれば、今、固定金利に借り換えておいたほうが安心は安心ということになるでしょう。

しかし、アメリカの利上げが打ち止めとなり、日本国内の長期金利もしばらく低水準を推移する可能性も捨てきれないことを考えると、まだ変動金利から固定金利へ借り換えるのは、時期尚早であるというのが私の結論ですが、あなたはどのように判断されますか?

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