子育て

敬語? タメ口? ママ友との心地よい距離を決めるコトバ選び

「仲良くなったママ友がずっと敬語のまま」「いきなりタメ口で話しかけられるとモヤッとする」「年齢を誤解されやすい」など、ママ友との会話における敬語・タメ口のお悩みについて解説します。心地よい距離を決めるコトバ選びついて考えていきましょう。

高橋 真生

執筆者:高橋 真生

子育て・教育ガイド

敬語? タメ口? ママ友特有の難しさと距離を決めるコトバ選び

敬語・タメ口、ママ友との話し方を考える

敬語とタメ口、ママ友との話し方に悩んだら、まずは上下関係の考え方や距離感を整理してみましょう。他のママの価値観を理解しつつ、自分に合ったことば遣いができるようになります!

一般に、話し方や敬語についての悩みは多いものですが、話す相手がママ友となると判断はより難しくなります。それは、ことば選びの問題に、年齢もバックグランドもまるで違う「ママ友」という特殊な人間関係が絡んでくるからです。

ママ友同士の話し方を難しくしてしまう原因とは? 年上・年下のママ友との距離の縮め方、タメ口ルールなどの具体的な対処法はどうしたらよい? そんなお悩みについて、国語教員・図書館司書を経て現在はライティングや情報リテラシー教育のアドバイザーとして活動する高橋真生が解説します。

ママ友ともっと仲良くなりたい人も、ある程度の距離を取りたい人も、多様な価値観を理解しつつ、自分に合ったことばを選んでいけるようになるといいですね。
 
<目次>
 

上下関係を表現する「敬語」 × ママ友の「年齢」の考え方

敬語には上下関係を表すという性質があり、オフィシャルな場で年齢的・社会的に立場が上の人には敬語を用いるのはマナーといえるでしょう。上下関係を考える上で、年齢はシンプルかつ客観的な尺度のようですが、ママ友に関してはそう簡単ではありません。なぜかというと、年齢の考え方が人によって異なるからです。

ママ友の年齢についての考え方は、大きく分けて3つあります。
  • 実年齢
  • 見た目年齢
  • ママ年齢(ママ歴)
子どもの年齢を基準としたママ年齢で考える場合、実年齢では一世代ほどの年齢差があっても、年下ママの方が「先輩」というケースがありえます。また、子どもが複数人の場合、第一子の年齢で考える人もいれば、同じ年齢の子どもがいれば対等とする人もいて、考え方はまさに千差万別。さらに、感じ方もそれぞれであり、年上でも敬語を使われたくない人、年下でもタメ口で話しかけられるのが嫌な人もいます。

以上のような理由から、年齢という上下関係で敬語を使うか使わないかを判断するのは、意外と難しいと言えるでしょう。

なお、年齢以外にも、居住エリアや夫の職業・収入などで上下関係が生まれるケースもあり、その場合、問題はより複雑になります。
 

心理的な距離を表す敬語と、相手に求める・相手から求められる距離感

概ね、敬語は「礼儀正しさ」と「よそよそしさ」を、タメ口は「親しさ」と「無遠慮さ」を感じさせます。そのため、はじめはマナー通り敬語を使っても、親しくなってきたらタメ口にする人は多いでしょう。

けれど、ママ友の距離感は、人やコミュニティによってかなりの違いがあります。何でも話せる濃い人間関係を望む人もいれば、距離を置きたい人もいますし、本人の意思に関わらず全員が同じ距離を求められるケースもあります。「求める」「求められる」距離感のずれが、悩みにつながります。

また「タメ口」、つまり普段通りのことば遣いの違いが距離を決めてしまう場合もあります。
  • 「わー、そうなんですか」
  • 「えー、本当?」
  • 「ゲー、マジで!?」
これらは同じような意味ですが、雰囲気はかなり違いますね。

ママ友の話し方が「わー、そうなんですか」から「えー、本当?」に変わると距離が縮まったように感じられますが、同じ人が別のママ友との会話中に「ゲー、マジで!?」と言うのを聞いたら、自分よりも別のママ友の方が親しいのだと思うでしょう。

一方で、基本的に「ゲー、マジで!?」という調子で話す人が、「仲良くなったママ友がいつまでたっても『えー、本当?』と他人行儀な話し方をする」という悩みを抱えてしまうこともあります。ことば遣いというのは本人になじんだものですから、そのママ友があまりくだけたことばを使わない可能性には、気づきにくいのですね。

このように、敬語を使わない状態(タメ口)でも、ことばのカジュアル度の違いが予想外の距離を生むケースが存在します。
 

迷ったらまず社会人としてのマナーを最優先、少しずつ敬語を減らす

敬語かタメ口か迷ったときには、まず社会人としてのマナーを優先し、状況に応じて少しずつ敬語の割合を減らす

敬語かタメ口か迷ったときには、まず社会人としてのマナーを優先し、状況に応じて少しずつ敬語の割合を減らす

ママ友という人間関係の中でどのようなことば遣いをするかを判断するのは、とても個人的なこと。性格も環境もそれぞれ、ましてや相手ありきのことですから、唯一無二の正解は存在しないと思われます。

そこで、迷ったときには、「ママ友として」ではなく「社会人として」と考えてみることをおすすめします。そうすることで、はじめは敬語で、関係に応じて敬語の割合を減らし、最終的にはタメ口という一般的な形にたどり着くでしょう。

では、どうやって敬語を減らしていけばよいのでしょうか。

会話の中でどの程度の敬語を使うかは、地域やコミュニティによっても異なりますから、まず周囲の話し方を参考にしましょう。

尊敬語や謙譲語を日常的に使う、敬語度の高いコミュニティでは、「明日はいらっしゃる?」「今度お渡しするね」「~してくださって、ありがとう!」など、丁寧語(です・ます)を使わないことで距離を縮めつつ、相手への敬意も表現できます。

敬語は「です」「ます」がメインのコミュニティでは、「すごいね!」「わー、おいしい」「えー、遠い!」など、あいづち(合いの手)や相手に関係のない部分から丁寧語を外してみましょう。続くことばはまた丁寧語にします。
 

【Q&A解説】ママ友との敬語・タメ口のお悩み、こんなときどうする?

Q. 距離を縮めたい人が年上のとき
年上でもフラットに接してほしい人もいれば、タメ口が嫌な人もいます。始めは敬語で話しかけ、親しくなってきたと感じた頃、少しずつタメ口を交ぜて、様子を見てはいかがでしょうか。相手の話し方が敬語のままなら、自分も敬語を使うのが無難でしょう。


Q. 距離を縮めたい人が年下のとき
相手が年下でも、いきなりタメ口で話しかけないようにしましょう。「年上が敬語を使うと圧迫感があるのでは」と心配する人もいますが、初対面の人に敬語で話すのは一般的なマナーですから、気にする必要はありません。

また、すでにご説明した通り、ママ友という関係性では、年齢的な上下関係を実年齢ではなくママ年齢だと考え、実年齢が年下でも対等(先輩)だと感じる人もいます。そういった意味でも、はじめは敬語で話すのがおすすめです。


Q. 仲良くなったママ友がずっと敬語のままなら
その人は、なんらかの理由があって、敬語を使い続けているのかもしれません。親しくなってきたと思ったら、「タメ口でいいよ」「タメ口にしない?」などと伝えてみてもよいでしょう。年下からタメ口にするのは常識がないように感じてしまうため、年上の人に「敬語をやめたい」「タメ口を使ってもいい」と言ってほしいという人もいるからです。

ただし年齢差によっては、どれだけ親しくてもタメ口を使えないという人もいます。それは距離を置いているのではなく、単なる性分ですから、気にしなくてよいと思いますよ。また、距離の問題ではなく、単純に敬語の方が楽だというママもいます。その場合は、お互い好きなことば遣いで話してはいかがでしょうか。


Q. タメ口を強要されるのがつらい
タメ口を使うルールというのは、概ね「皆が早く仲良くなれるように」「年齢差を気にせず誰もがフラットに話せるように」という配慮から生まれたものだと考えられますが、ある程度距離があった方が落ち着く人や、人間関係に慎重な人にはつらいこともあるでしょう。

無理せずに「タメ口に慣れていないので、なかなか敬語が抜けないかもしれません。でも、よろしくお願いします」などとさらっと伝えておくと角が立ちません。


Q. いきなりタメ口で話しかけられるとモヤッとする
敬語を使い慣れている人の場合、初対面のタメ口は非常識だと感じてしまうことがあるかもしれません。ただ、早く仲良くなろうという好意や、敬語への苦手意識の表れであることも多いので、ことばだけの問題であれば、受け流すのも方法の一つです。


Q. 既存のママ友グループに後から入るとき、年齢がバラバラだとどう話していいかわからない
子どもの送迎やマンションのつながりなど、固定されている少人数のメンバーの中に後から入るときは、気を遣うことが多いもの。最初は敬語で問題ありませんから、気負わず、少しずつ慣れていけばよいでしょう。

このケースでは、グループ内の話し方が参考になります。皆がフラットなら徐々にフラットに、年上に敬語を使っているようであれば同じようにすると、大きなずれは生まれにくいはずです。


Q. 年齢を誤解されやすい
見た目やふるまいなどによって、実年齢よりも年上・年下に見られる人もいると思いますが、話し方という観点では、特にストレスを感じることがない限り、自分からアクションを起こさなくてもよいでしょう。

もし年齢を誤解されていることが原因で、思うような距離がとれないと感じる場合(敬語を使われてしまう・初対面なのにタメ口で話しかけられるなど)は、年齢を伝えることで、実年齢を重視する人には何らかの効果があるかもしれません。


Q. ぐいぐい近づき過ぎてママ友にひかれてしまった
仲良くなれそうな人に出会えたり、距離が近づいたと感じたりしたうれしさから、話し過ぎた・聞き過ぎた・なれなれし過ぎた……というのは、意外とよくあることです。

ただ、「親しくなれそう」「親しくなった」と思う感覚は人それぞれですから、相手が戸惑ったり驚いたりしているようであれば、「私も同じと思ったらうれしくて、つい……」「びっくりさせてごめんなさい」などと謝ってもいいと思います。恥ずかしさから重くなりがちですが、たいしたことではありませんから、さらっと一言でよいでしょう。


Q. とっさに適切なことばが出てこない
実際の会話では慌ててしまうことがあるかもしれませんが、実は、これは大切な気づきです。なぜなら、ことば選びを間違えることは、誰にでもあり得るからです。

そうわかっていることで、誰かの言い方や話し方に少し引っかかっても、深追いせずに「上手に言えなかっただけかも」と考えられます。相手のことばに一喜一憂せず、思いをくみ取れる美点だと思ってくださいね。話すのは慣れもありますから、話しやすい人から少しずつ焦らずに会話してみましょう。
 

適切なことば選びで円滑な人間関係を!

悩みの根っこにあるのは「ママ友と気持ちのよい距離感で過ごしたい」という気持ち

悩みの根っこにあるのは「ママ友と気持ちのよい距離感で過ごしたい」という気持ち

ここまでママ友との話し方で悩む原因やその解消法をお伝えしてきましたが、悩みの根っこにあるのは、「ママ友と気持ちのよい距離感で過ごしたい」という思いなのだと思います。

すでに述べていますが、気持ちのよい距離感は人によって違いますから、最終的には、自分が「どうしたいか」「どうありたいか」、そしてそれをどうことばで表現していくかがポイントになります。

たとえば、「たくさんのママ友と仲良くなりたい」「人の気持ちを考えられる人でありたい」ならば、親しみと相手への気遣いがことばにも表れるでしょうし、逆に「ママ友とは距離を置きたい」「変にそっけなくするのではなく、普段の元気な自分でいたい」ならば、きちんとしたことば遣いでも、明るい雰囲気になるでしょう。

敬語を使っていても親しみを感じられる人がいれば、タメ口でも距離を置きたくなる人もいます。全く同じことば遣いでも、声の大きさ・話すスピード・抑揚、そして表情や身振りによっても印象は変わります。

ことばは主要なコミュニケーションツールですが、人は、ことばだけでなく、その人全体を見ているもの。お互いの気持ちやペースを尊重しながら、上手に付き合っていきたいですね。

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