総務・人事

オフィスの地震対策…転倒防止や備蓄品準備のリスト

今注目されている総務関連の用語に「BCP」があります。BCPとはBusiness continuity planningの略で、災害時等にいかに事業を継続するかという「事業継続計画」を指します。その中核となるのが「防災対策」。防災マニュアルの策定や安否確認システムの導入、災害備蓄品の準備などの検討項目がありますが、最も大事なのは従業員の生命と企業資産の保全。今すぐできる防災対策のチェックポイントをまとめました。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

今すぐできる耐震対策チェック・ポイント

オフィスの耐震・災害対策

オフィスの耐震・災害対策

オフィスでできる、やるべき耐震対策について紹介します。通路やデスク、オフィスの機能別に整理しています。さらに、その中でも、
  • すぐにやるべきもの(□印)
  • レイアウト変更時などに行うもの・工事が必要なもの(■印)
に分けています。ただ、後者も早めに手を付けた方が安心です。

【通路】
□ 通路上に段ボール箱などを置かない(避難障害となり危険)
□ 避難通路の両側には、転倒の可能性のある家具、割れて飛散する恐れのあるガラス家具等を置かない
■ 非常口に通じるメイン通路は幅120cm、メイン通路に通じるサブ通路は幅60cmを確保する
■ メイン通路まではどこからでも容易に到達できるようにし、できるだけ直線の通路とする

【デスク】
□ 机の足元に書類や段ボール箱を置かない
□ 引き出しにはラッチ機能((地震時、引き出しの飛び出しや扉が開くのを防ぐ構造)がついているものを使用し、重量物は下段の引き出しに入れる
■ デスク上のパソコンは、ラバーシートで滑り止めを施すか、天板に固定する
■ 脚部はアジャスターで床に固定する

【キャビネット】
□ 扉は常に閉めておき、開いた状態で放置しない
□ キャビネット上には物を置かない(落下の危険性)
□ 書類などの収容物をぎっしり入れない(詰め込むと、キャビネットと書類が一塊になって揺れるため、転倒しやすくなる)
□  下から順に重いものを収納し、上部に収納物が集中しないようにする
■ ガラスには飛散防止フィルムを貼る
■ 避難誘導灯がどこからでも見えるよう、あまり背の高いものは設置しない
■ 窓際に設置する場合は、窓下までの高さのものにする
■ セーフティーロック機能(一つの引き出しを開けると、そのほかの引き出しは開かない構造)やラッチ機能(地震時、引き出しの飛び出しや扉が開くのを防ぐ構造)のついたものを利用する
■ 高さ120cmを超えるものは、単独設置はせず、左右連結をして壁面に設置する
■ 二段に積み重ねて使用する場合は、四隅をネジで固定するなどして上下連結する
■ 人が常時いる場所の近辺に設置する場合は、高さ120cm以下にし、壁面設置かキャビネットを 4つ以上の固まりとして左右と背中で連結
■ 壁か床に固定する。高さ120cmを超えるもので壁面設置しない場合は、キャビネットを4つ以上の固まりとして左右と背中で連結して床に固定する

【ローパーテーション】
□ ガラスパネルを使用する場合は、飛散防止フィルムを貼る
■ コの字型、T字型やH字型など、折り目を入れるように組み、倒れにくくする
■ 避難通路と平行に設置する場合は、アンカーボルトで床固定する

【間仕切り】
■ 地震の振動によりドアが開かなくなることがあるため、間仕切りで囲った小部屋も原則二方向避難ができるよう、二面に出入口を設けることが理想

【壁】
□ 壁の絵画や時計、掲示物はしっかりと固定する。取り付ける場合は軽鉄の柱もしくはコンクリートの壁に固定する。石膏ボードに取り付ける場合は複数のネジで取り付ける


準備したい防災備蓄品リスト 

3日間は社員が過ごせるだけの備えを

3日間は社員が過ごせるだけの備えを

震災対策を施しても、震災直後に無理に徒歩で帰宅しようとすると、救助活動の妨げになるだけでなく、従業員自身の命も危険にさらされます。最低でも3日間は会社に留まれるよう、備蓄品の用意が必要です。以下に防災備品リストを掲載します(※)。


・応急手当セット(一式×フロア)
切り傷・やけど・骨折に対応する道具。三角巾・包帯・威菌ガーゼ・傷パッドなどのセットと応急手当てマニュアル

・救助セット(1式×フロア)
避難経路の確保や救助活動に必要なバール、ハンマー、ジャッキ、ロープ、作業用の革手袋など

・消火器(フロアに数本)
ビルの設備が動作しない場合に備え、最低限の消火器を準備しておくことが望ましい

・軍手(1組×人数)
避難時や救助活動時、ガレなどの撤去時に使用。また冬季は防寒具としても活用できる

・懐中電灯(1組×人数)
夜間の停電時には明かりがないと行動ができない。特に避難時には必須。電池の持ちが長いLEDがよい

・ハザードマップ(1組×人数)
避難時に必須、コピーでもかまわないので会社周辺のハザードマップを配布する

・ヘルメット(1組×人数)

避難時や救助活動時にあれば役立つ

・非常用トイレ(7回×3日×人数)
便器にかぶせる用便袋、消臭、抗菌効果の高い凝固剤、使用後の袋をまとめられる大袋のセットがよい

・保存水(3L×3日×人数)

すべてを備蓄専用にせず、一部は平時から利用できる小型ボトルやお茶にして使った分だけ足してもよい

・非加熱食品(3食×3日×人数)
そのまま食べられる非常食(ビスケットやチョコバー)、乾パンなど加熱不要な主食類を準備 

・加熱食品(3食×3日×人数)
お湯で戻すアルファ米、レトルトカレー類、インスタント食品などを追加すると食事の満足度が高まる

・加熱道具(1食×3日×人数)
水を入れるだけで使える発熱剤、またはカセットコンロなどを準備しておくと役立つ

・毛布(1枚×人数)
圧縮収納された毛布を準備、予算がなければエマージェンシーブランケットでも代用できる

・睡眠グッズ(1セット×人数)
予算が許せば、エアマツト、エア枕、アイマスクなどを追加、泊まり込みの作業要員分は確保すべき

・ウェットティッシュ(1個×人数)
傷の手当てや衛生管理に必要。トイレ後や食事前に手指を拭くことで感染症予防、水の節約にもなる

・圧縮タオル(1枚×人数)
タオルとしての利用のほか、ケガをした際の手当てに使うこともできる

・マスク(1枚×3日×人数)
地震直後の粉塵、乾燥や感染症の予防のためにマスク着用が望ましい

・電池充電器(1個×人数)
スマートフォンや携帯電話を充電できる乾電池タイプの充電器を準備

・予備電池(1組×人数)
電池が必要なグッズを準備した際には必ず入れておく


※出典 『月刊総務』2016年8月号 総務のマニュアル 防災アドバイザー 高荷智也氏
http://sonaeru.jp/works/t_takani/ 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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