寺・神社/京都の寺・神社

京都の萬福寺で、豪華精進料理をいただく

お寺でいただく精進料理には、実は、さまざまな種類があります。宗派によって、また、お寺ごとに、調理法や食材や見かけに違いがあるのです。今回は、精進料理の中でも、もっとも豪華な普茶料理が食べられる京都の萬福寺をご紹介します。萬福寺は、中国直伝の禅宗の一派である黄檗宗の総本山で、料理以外にも、中国風の建物、仏像など、見所がいっぱいです。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

中国のような寺、萬福寺

どっしりした山門をくぐると、中国のような世界が広がっている

どっしりした山門をくぐると、中国のような世界が広がっている

萬福寺は、京都の宇治にほど近い黄檗というところにある、個性派の寺です。どこがそう個性的なのか? まずこの寺は、建物も、境内全体の雰囲気も、他の日本の寺とは大きく違います。お堂の屋根は反り返り、あちこちに祀られている仏像も、見慣れた和風のものとは趣きが違い、まるで中国のお寺に来たみたい。それは、この寺が、中国直伝の禅宗である黄檗宗の総本山だからです。

あれ、でも、禅宗って、そもそもが中国伝来のものではないの?その通りです。禅宗には臨済宗と曹洞宗があり、それぞれ栄西と道元が、鎌倉時代に中国に行って教えを学び、日本に伝えました。しかし、それは長い歳月を経て次第に日本文化と融合していきました。その後、江戸時代に、改めて中国から隠元禅師という僧侶を招聘し、完全に中国式の禅を伝えてもらいました。
反り返った屋根が中国の寺を思わせる

反り返った屋根が中国の寺を思わせる

中国風の七宝の壷は、近年、信徒さんから奉納されたものだという

中国風の七宝の壷は、近年、信徒さんから奉納されたものだという

隠元禅師は、この地にお寺を開き、自分が中国に持っていた寺と同じ「黄檗山萬福寺」と名づけました。隠元さんが伝えたものは、当時は臨済宗の中の一派となったのですが、幕府の政策等により、宗派を黄檗宗と改宗しました。したがって、現在の日本の禅宗には、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の三つの宗派があるのです。

隠元さんは、禅にまつわる数々の文化を日本に伝えました。そのため、この萬福寺も、すべてが中国の明時代の様式で造られています。それだけでなく、美術・建築・印刷・煎茶・料理、それまで日本になかった食材など、さまざまなものを日本に持ってきてくれたため、当時の江戸時代の文化全般に、大きな影響を与えたと言われます。

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