「糖質制限ダイエット」のメリット・デメリット
糖質制限は控えるべき食材が少ないので実行しやすいといわれますが、反面、身体に負担がかかるデメリットも……。
「糖質制限ダイエット」は、糖尿病治療とリンクする形で注目されたダイエット法です。炭水化物・たんぱく質・脂質のうち、血糖値を上げるのは炭水化物、いわゆる糖質だけ。体内での糖代謝メカニズムを考えると、糖質制限は糖尿病治療に有効なだけではなく、ダイエットにも効果的な方法なのです。ちなみに、糖にはさまざまな種類がありますが、糖の種類によるダイエット効果の違いは未だ検討されていません。
実際に、糖質制限ダイエットで効果が出た方も多いようで、それが流行に繋がった要因かもしれません。糖質制限のメリットは、気にするべき食材が「糖質を含むもの」に限られていて、わかりやすいこと。肉や魚のように糖質をあまり含まない食材については、特に制限がなく、お酒も蒸留酒であれば問題ありません。このお酒OKという条件が、居酒屋通いの多い男性から支持を受け、「お父さんにできるのだから、私にも……」という形で、その後女性たちにも支持の輪が広がったのかもしれません。
一方で、糖質制限にはデメリットもあります。まず、脳の主な栄養源である「糖質」を制限することで、思考能力の低下に繋がる恐れが出てきます。また、身体は糖の不足を感じると、たんぱく質や脂質から糖質を作ろうとしますが、その際に発生する「ケトン体」が身体に悪影響を与えることも知られています。つまり、糖質制限で痩せることはわかっても、やりすぎは禁物。身体には少し気の毒な方法かもしれないのです。
中には、「緩やかな糖質制限」という言葉を使って、糖質制限を支持する医師もいるようですが、そもそも糖質を制限する代わりに肉や魚をしっかり食べると、当然ですが食費もかさんできます。実際、金銭的な問題を理由に挫折をしてしまう方も少なくないようです。
「脂質制限ダイエット」のメリット・デメリット
脂質は1gあたりのエネルギー量が糖質に比べて多いため、脂質を控えればエネルギーカットにつながりダイエットできるという考え方です
古来から日本人の食生活には脂質が少なかったため、脂質制限ダイエットは比較的違和感なく続けられる場合が多いかもしれません。はじめは「揚げ物NG」等を辛いと感じても、こちらもいずれ慣れてくるでしょう。
しかし、脂肪には体内で合成できない「必須脂肪酸」が含まれているため、むやみやたらに制限することができません。「必須脂肪酸」を含む良質な脂質は代替ができないため、摂らないわけにいかないのです。そのため、糖質のように「とにかく食べない」という選択肢はなく、条件が少しややこしいのです。
「エネルギー制限ダイエット」のメリット・デメリット
もう1つ、古来から人気の高い「エネルギー制限」ダイエットがあります。こちらは古くから実践されている方法なので、他に比べると安全性が高い方法といえるかもしれません。しかしその反面、エネルギーだけに気をとられていると、栄養素ごとのバランスが崩れ、徐々に過不足が出てきてしまいます。極端に言えば、2000kcalを摂取したい場合、「砂糖を約500g」食べても2000kcal、「サラダ油を約200g」を飲んでも2000kcalになります。つまり、エネルギー量だけに注目すると、これでOKということになってしまうのです。しかし、当然これでは栄養バランスがとれていません。安全性は高いといえども、やはりエネルギーだけに注目していてはダメだということが分かります。
結局、一番効果があるダイエット法はどれなのか
主食・主菜・副菜がそろった定食のスタイルが日本人にとってベストな食事です。
少し噛み砕いて解説しますが、糖質制限や脂質制限は「質」に、エネルギー制限は「量」に着目したダイエット方法です。エネルギー制限で「食べてもよい上限」を決め、「糖質」と「脂質」の割合をバランスよく整えるのです。三大栄養素のバランスは、それぞれの頭文字を取り「PFC比」として表されます。日本人には炭水化物(糖質):たんぱく質:脂質=60~55:15:25~30程度がよいとされています。ただし、この割合を意識して下さいといわれたところで、そう簡単にできるものではありません。
話がやや専門的になりましたが、とにかく明らかに栄養バランスの偏った食事は管理栄養士としておすすめできません。幸いなことに日本人には良質な食事の考え方があります。それは「定食」のスタイルです。定食というと、ご飯(米飯)、肉や魚などの主菜、野菜の小鉢(副菜)、汁、漬物というのが定番スタイルです。このうち汁と漬物は塩分のとりすぎが懸念されるため、控えてもよいかと思いますが、大切なのは「ご飯・主菜(肉、魚、卵、豆腐を使った料理)・副菜(野菜)」の3つが、常に食卓に上っていることです。
ダイエットについて、さらに詳しく知りたい方は「医師推奨!堅実で効果的なスローカロリーダイエット」や「アラフォーができるだけ避けたいランチメニュー」を参考にして下さい。なお、後者に関してはランチに特化した記事になっていますが、3食とも同様に考えて頂いてけっこうです。
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