「ロクなことがなかった一年」と感じてしまうのはなぜ?
「この1年いいことなんてなかった」…その思い、本当ですか?
そもそも人間の心には、悪い出来事ばかりが印象に残ってしまうという特性があります。これには、物事を完遂できたことより、未完に終わったことの方が記憶に残りやすいという心理効果が影響しています。この心理効果を「ツァイガルニク効果」と呼びます。
つまり一年を振り返り「ロクなことがなかった」と感じてしまう場合、取り組んできたことの中で、“未完”に終わったことだけが印象深く記憶されている可能性があるのです。
ツイていない年にも「成功体験」はいくつも起きている!
この心理効果を逆手に取って考えてみましょう。すると、「ロクなことがなかった」と感じる一年の中にも、実はたくさんの「やり遂げたこと」、つまり成功体験があったことに気づくはずです。あのやっかいなツァイガルニク効果のしわざで、それらの体験が印象に残っていないということになります。そんな心理効果のせいでブルーな気持ちのまま年を越すのは、とてももったいないことです。そこでお勧めしたいのが、「今年やり遂げたこと」つまり「今年の成功体験」を書き出してみることです。小さなことでも、何かしらの成功体験(できたこと、学んだことなど)はあるはずです。どんなことでもいいのです。ぜひどんどん書き出してみてください。
たとえば、「今年は株で大きな損をしたが、そのおかげで新しい投資の方向性を見つけることができた」「今年はケガのおかげで外出を楽しめなかったが、おかげで家族とじっくり話す時間を持てた」――。このように、私たちは気づかぬうちにたくさんの成功体験を得ているものなのです。
このように書き出してみると、災難のおかげで思わぬ気づきが得られたこと、大失敗のおかげで別の方向で喜びを感じられたこと、そんな体験を意外にたくさん得ていることに気づくことができます。これを「災い転じて福となす」と呼びます。
「予言の自己成就」…現実は「予言」した通りに導かれる!
ネガティブな予言をすればネガティブに、ポジティブに予言すればポジティブに現実は変わる!
実際に、「そうなるに違いない」という思いを口にすることで、それが現実化する効果を証明した学説があります。それが「予言の自己成就」です。たとえば、根拠もないのに「あの会社は危ないぞ」と人々が不安を語り合うことによって、その会社の株が暴落し、倒産してしまうような事態は現実にたびたび生じています。90年代のバブル崩壊なども、予言の自己成就がマイナスに作用したことで、人々の不安が現実と化してしまったとも言えます。
新しい年の始まりに未来をネガティブに予言すれば、人間の行動は無意識のうちにその予言通りの方向に導かれてしまいます。これを逆に捉えれば、ポジティブな予言をすれば、その予言通りの方向に行動が導かれ、ポジティブな結果を手にすることができるということになります。「来年の○月には、私は○○になっている!」と未来の自分を具体的に明確に予言してみましょう。すると、その予言に近づくように無意識に自分の行動が導かれ、実際に予言通りの結果を手に入れることができるでしょう。
ただし、ただの「ビッグマウス」、根拠のない「大口」はダメです。合格圏から遠く離れていて具体的に努力する気持ちもないのに、「来年の4月には東大生になっている!」といくら予言しても合格できるるはずがないように、実現可能性の低いことを成功すると予言しても、絵空事で終わってしまいます。
新年に明確に「予言」する準備をしよう!
今年一年手痛い失敗を経験し「ツキ」に恵まれていなかった人こそ、その体験から現実的な目標がイメージできるはずです。それを「明確な目標」として書き出し、「予言」として言語化してみてください。たとえば、「今年は、Aの仕事で自分の限界に直面してショックだった。しかし、Bの分野なら今までの実績も活かせるだろう。よし、Bの分野をさらに勉強して、来年の○月にはBの専門家として認められる仕事をするぞ!」―こんな現実に即した具体的な予言です。
こうして具体的な目標の言語化、つまり予言をすることにより、目標の方向に行動が自然に導かれていきます。ぜひ、年末のうちに実現可能性の高い「予言」を考え、年明けに「言語化」できるようにしておけるようにしましょう。「一年の計は元旦にあり」です。来年こそ「予言の自己成就」効果で、成功を手にしましょう!