うどん/伊勢うどん

伊勢うどんの伝統を守りつつ新風を吹き込む「山口屋」

江戸時代から伊勢神宮の参拝客に親しまれてきた伊勢うどん。「山口屋」は、発祥の地であり本場である伊勢市で、昔ながらの伝統を守る名店のひとつ。新たな伊勢うどんファンを獲得すべく、次々に新機軸を打ち出しています。

石原 壮一郎

執筆者:石原 壮一郎

うどんガイド

伊勢うどん店で初! オリジナル顔ハメ看板を設置!

伊勢うどん画像

白くて太い麺と黒いタレの美しいハーモニー

創業は昭和のはじめ。3代目店主の山口敦史さん(53)は日々、早朝から小麦粉と対峙します。伊勢市駅から歩いて5分、外宮さんにも近い「山口屋」は、今や伊勢うどんの本場でも数少なくなった自家製麺のお店。その日に使う麺を機械で捏ねて伸ばして寝かせて切って、巨大な釜で1時間ほど茹でます。

「茹であがったら水洗いして、ひと玉分ずつに分けて、注文を受けたらもう一回しっかり茹でます。そうすることで伊勢うどん独特のふわっとした食感が出るんですわ」

麺が太いのが伊勢うどんの特徴のひとつですが、この店の麺は他店と比べてひとまわり太めで、しかもふんわりもっちりです。たまり醤油が香ばしい甘辛いタレも、もちろん自家製。鰹節やサバ節、昆布など何種類ものダシを大量に使って、じっくりじっくり煮込んで作ります。伊勢を訪れた際には、「これぞ本場の伊勢うどん!」という伊勢うどんを味わってみましょう。

うどんの仕込み

1回の仕込みで茹であがる麺は、およそ80玉分。忙しい日は、日中に2回目、3回目の仕込みをすることもあるとか

「山口屋」は、昔ながらの伊勢うどんの味と伝統を守っているだけではありません。新しい伊勢うどんファンを増やしたい、わざわざ遠くから訪れてくれたお客さんに楽しんでもらいたいという思いで、新しいメニューの開発や斬新なチャレンジを続けています。2014年の大晦日には、店頭にオリジナルの「顔ハメ看板」を設置。伊勢うどんの長い歴史の中で初めてのチャレンジです。

「観光客の方が伊勢に来て伊勢うどんを食べた記念に、撮っていってもらえると楽しいかなあと思って。カップルの方にシャッターを頼まれることも多いですよ。ツイッターやフェイスブックにも、どんどんアップしてほしいですね」

顔ハメ看板と山口さん

設置して半年ちょっと。今や伊勢の名物スポットに

定番の伊勢うどん(500円)のほか、2012年に登場して今や当店の名物メニューとなっているのが、伊勢うどんと田舎あられを組み合わせた「伊勢じまん」(620円)。伊勢周辺では昔から、田舎あられにお茶をかけた「あられ茶漬け」が昔からよく食べられてきました。「伊勢じまん」は、伊勢のふたつの伝統的な食文化を合体させた斬新かつ懐かしいメニューです。

伊勢じまん

「伊勢じまん」は伊勢うどんと田舎あられのセット

「思いついたのはかなり前なんですけど、ちょうどいい具合にふやけてくれるあられを探すのに、けっこう時間がかかりました。構想3年ぐらいです。最初は普通に伊勢うどんを食べて、途中であられを半分のせて、最後は残ったタレにもう半分のあられを入れて、うどんの茹で汁を足して食べてもらうのがオススメです」


ごちゃ伊勢うどん

豪華絢爛でボリュームたっぷりな「ごちゃ伊勢うどん」

お店で使っている具を全部載せた「ごちゃ伊勢うどん」(1150円)も人気。エビの天ぷら2尾、牛肉、カマボコ、油揚げ、麩、刻み葱が麺を覆い隠しています。元々は、志摩からわざわざ通ってきてくれた常連さんが、ある日「具を全部載せて」とリクエストしたことから生まれました。シンプルな伊勢うどんも素敵ですが、豪華絢爛な伊勢うどんも格別です。

来年(2016年)5月には「伊勢志摩サミット」の実施が決定し、伊勢の町も伊勢うどんも盛り上がっています。「また遷宮のとき(2013年)みたいに、全国からたくさんの人が伊勢うどんを食べに来てほしいですね。各国の首脳や奥さんも食べてくれやんかな」と、山口さんの野望は伊勢うどんのように太くやわらかくふくらみます。

■山口屋
住所:三重県伊勢市宮後1-1-18
TEL:0596-28-3856
営業時間:10:00~19:00(L.O.18:45)
定休日:木曜日
備考:伊勢うどん(500円)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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