企業経営のノウハウ/社内報の活用法

情報共有、風土醸成。正しい理解で社内報を活用する(2ページ目)

社内報づくりで目指しているタイプとは?情報共有型、コミュニケーション強化型、風土醸成型、意識改革型、等々、さまざまなタイプがあります。しかし、これらの「型」の社内報を、どのように実現すればいいのでしょうか? なんとなく分かっているが、その意味するところ、あるべき姿は各人各様。それでは、目指すべきところがぶれてしまいます。今回は、その「型」の実現に迫ってみます。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

コミュニケーション強化型。何がコミュニケーションに繋がるのか

先に記したように、コミュニケーション強化型とは、
コミュニケーションが活性化している様子

社内報をコミュニケーションのきっかけとするには?

誌面を通じたコミュニケーションではなく、リアルなコミュニケーション、会話を活発にするためのきっかけを提供すること、そのように理解すべきでしょう。

会話のきっかけ、大きく分けて「オン」と「オフ」があります。「オン」とは仕事に関すること、「オフ」はプライベートに関すること。ちょっとした会話にはプライベートネタが相応しいでしょう。ですから、コミュニケーション企画と言った場合は、プライベートを紹介する企画を指すことになります。

人物紹介や部署紹介のちょっとしたコラム、座談会やインタビュー記事でも、登場者を紹介する場面でプライベートネタを掲載するケースがあります。例えば、
■ 出身地や家族構成
■ 好きな食べ物
■ ペットの紹介
■ おススメ書籍やおススメのお店
■ 私のマイブーム
■ 座右の銘とそれにまつわるエピソード
等々、さまざまな切り口が考えられます。

そのようなプライベートネタが読者の記憶に残れば、それを基に会話をしようと思うかもしれませんし、社内で顔を合わせた時にそれをネタに会話が始まるかもしれません。

「オン」の会話のネタとは、仕事に関すること、例えば、
■ 所属部署
■ 管轄業務のこと
■ いま活動しているプロジェクトのこと
■ 業務に関する得意分野、専門分野、得意な業界など
■ 過去の職歴
■ 成功体験、失敗体験
等々、これもさまざまな切り口が考えられます。

これらを全て掲載するということではありませんが、何らかの形で社員が登場した場合は、囲みでもいいので、ちょっとした小ネタとして掲載しておけば、それがきっかけで会話、或いは、問い合わせが入る可能性が考えられます。

つまり、このような会話のきっかけを掲載することは、それにより必ず会話が始まるというものではありませんが、掲載することで会話が始まる可能性を提供するということになるのです。だとしたら、そのきっかけは多い方が可能性が高まります。

人物登場企画の場合は、このような可能性を高めることを常に意識しながら、情報を掲載していくことが大切でしょう。

風土醸成型。風土の醸成を社内報でどのようにサポートすべきか

風土醸成型社内報。言葉をそのまま解釈すれば、今ある風土の醸成をサポートする社内報と言う意味になります。この場合、問題となるのが、風土をどのように切り出すか、ということです。

風土とは目に見えないものと考えられますが、企業における風土、社風とは、所属する社員のある特定の思考パターンであり、立ち居振る舞いのこと、仕事の進め方と考えることができます。であれば、その思考パターン、行動パターンを色濃く持っている社員を取り上げることが一つの料理方法かもしれません。

「あいつは典型的な〇〇マンだ!」(○○は企業名)と言われる人が社内にいるはずです。それがここで言う風土を色濃く出している社員です。その社員の思考パターン、行動パターンを切り出し掲載していく。そして、そのパターンをなぜ故にとるのか、その根底の部分を探り出していく。

そのような社員は、意識せずにそのようなパターンで行動しますから、寄稿してもらっても、その本質は見えてきません。本人も気づかない思考パターンは徹底した取材が必要です。それをあぶり出し掲載し、読者にまねをしてもらうことにより、風土を伝播させていくのです。

まねをしてもらうには、その方法もさることながら、そのパターンをとることのメリットもあわせて紹介していかないと行動に移してくれはしないでしょう。ですから、取り上げる社員にはそれ相応の実績も必要となることになります。

風土醸成型社内報とは、ます風土を理解し、その風土を具現化している社員を見つけ、その思考、行動パターンの根底部分を探り出す、取材力が必要な社内報のパターンでもあります。今回紹介した中では、結構その実現が難しいパターンかもしれません。人に迫り、共感される記事作りが必要ともなるパターンでもあります。

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