企業経営のノウハウ

なくしたものがオークションや店頭で売られていたら?

自分がなくした物が売られているのを知ったらどうしたらいいでしょう?それが盗まれたものだったら?先日テレビを賑わせていた、リサイクルショップの窃盗事件を参考に考えてみましょう。

執筆者:石下 貴大

リサイクルショップの責任

先日、東京都中野にあるリサイクルショップ「まんだらけ」での窃盗事件が話題になっていました。防犯カメラに写った万引犯とみられる人物に、返却しなければ顔写真を公開すると同社が警告し、その是非をめぐり議論を呼んでいたので、このニュースを見た方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

警察の要請で公開は見送られましたが、同社がここまで強硬な姿勢を示した背景には万引被害の深刻さがあります。また、リサイクルショップでは、今回の事件のように盗品等の処分先として利用されてしまうこともあります。

そのような犯罪との関わり合いを防止するため、古物営業法及び犯罪収益移転防止法では遵守事項がそれぞれ定められており、開業後はこれらの法定遵守事項をしっかりと守らなければなりません。つまり、リサイクルショップでは法律上、一般人より重い責任があるのです。

このニュースを例にその責任についてみていきましょう。

古物商って何だ?

まず、リサイクルショップを営むには「古物商」という許可が必要になります。一度使用された物品や、新品でも使用のために取り引きされた物品(新古品)、及びこれらのものに幾分の手入れをした物品を「古物」といいます。

そして古物の売買、交換をする営業(古物営業)には、盗品等の混入の恐れもあるため、 古物営業法により都道府県公安委員会の許可を得なければ古物売買、交換をする営業(古物営業)をすることができません。

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古物商の許可証



つまり中古OA機器販売、中古家具販売、古本屋、中古車販売、古着屋などを行う場合に古物商の許可が必要となります。ですのでリサイクルショップは正式には古物商といい、許可を取得しなければ営業できないのです。

古物商の3大義務とは?

古物商を営業するにも許可が必要なのですが、古物商には許可を取った後も守るべき義務があります。中でも3大義務といわれるのが下記の3つです。

・本人確認義務
古物の取引をする場合は、原則として定められたいずれかの方法で相手の真偽の確認をしなければいけません。

・取引記録作成・保存義務
古物の売買を行った場合には、次の事項について取引の都度帳簿又は電磁的記録に記録して保存しなければいけません。なお、1万円以下の取引の場合で、例外品(自動二輪車、原動機付き自転車、家庭用テレビゲームソフト)以外の取引を行う場合は、この限りではありません。

・不正品等発見時の警察官への通知義務
取引の古物が盗難品等の疑いがある場合には、警察官に申告しなければいけません。

犯罪

万引きは犯罪です

今回の事件では、盗まれた鉄人28号を近くのリサイクルショップで売っていたことから犯人逮捕に繋がったいわれています。
つまり上記の古物商の義務をリサイクルショップが果たしており、犯人の情報が保存されていたわけですね。

盗まれたものが売られてしまったら?

では今回のように、盗まれたものが売られてしまった場合、どのようにしたらいいのでしょう?もしも自分のものがオークションや店頭で売られていたらどうしますか?

もちろん「返して」となりますよね。

しかし売っている側からすれば買い付けたものを売ったのに無償で返すわけにもいかなそうです。

こういう場合のため、民法、商法、古物営業法では被害者等に返還請求権を認めています。

売買などで取得したものが盗品又は遺失物であった場合、その被害者は、盗難又は遺失の時から2年間は、購入した人に対して、その物の回復を請求することができます。つまり、購入した人に対して「返して」といえるのです。

ただし、購入した人側からしてもその物を盗品と知らずに買った場合に、無償で返還することになるのも公平ではありませんから、その場合には代金と交換でなければ、その物を返さなくてもいいと民法で規定されています。(民法194条)

その一方で、古物商が、公の市場または同種の物を取り扱う営業者から、盗品・遺失物とは知らずに盗品・遺失物を古物として譲り受けた場合、盗難・遺失の時から1年以内に被害者・遺失主から返還請求をされた時には、古物商はその品物を無償で返還しなければなりません。

このように古物商は営業許可を持つがゆえにその責任も重いのです。

最近はネットオークションなどで気軽に古物を買えるようになっていますので、こうしたことには特に注意したいですね。
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