大学生の奨学金/民間企業体や大学独自の奨学金制度

4年間で最大720万円も給付!神奈川大学の奨学金(2ページ目)

神奈川県の横浜市と平塚市にキャンパスをもつ神奈川大学では、学生一人当たりの金額でみると全国最高額レベルの給付型奨学金制度を設けています。文系学部は年額100万円、理工系学部は年額120万円が4年間給付されるだけでなく、ひとり暮しの学生には生活費支援として年額60万円が給付されるという充実したものです。今回は神奈川大学の独自奨学金にスポットを当ててみます。

久米 忠史

執筆者:久米 忠史

大学生の奨学金ガイド


神奈川大の独自奨学金のほとんどが給付型!!

1ページ目で紹介した給費生制度以外にも、神奈川大学では様々な独自奨学金制度を設けており、そのほとんどが返済不要の給付型となっています。

<その他の神奈川大学独自奨学金>
  • 新入生奨学金 / 年間授業料の30%相当額を給付
  • 地方出身学生支援奨学金 / 15万円を給付
  • 修学支援奨学金 一種 / 年間授業料の50%相当額を給付
  • 修学支援奨学金 二種 / 年間授業料の30%相当額を給付
  • 海外活動支援奨学金 / 短期(5万円)、長期(最大80万円)を給付
  • 指定資格取得・進路支援奨学金 / 資格、進路により20万円か30万円を給付
  • 自己実現・成長支援奨学金 / 活動内容により一定額を給付
  • 村橋・フロンティア奨学金 / 毎年度決定額を給付
  • 激励奨学金 / 10万円を給付
  • 後援会給付奨学金 / 20万円を給付
  • 宮陵会奨学金 / 1万円~30万円を貸与
  • 宮陵会給付奨学金 / 学費半期分の50%相当額を給付
上記のほか、大学院生対象のものや約20団体の民間奨学金など数多くの給付型奨学金が用意されているようです。

これほどまでの奨学金制度を用意する理由について、大学のご担当者に訊いてみました。

今から80年前に始まった最も歴史のある奨学金制度

「給費生制度の歴史は古く、創立者の米田吉盛がイギリスのケンブリッジ、オックスフォード両大学の奨学金を参考に制度設計し、本学の前身である横浜専門学校時代の1933年(昭和8年)に、第一回の給費生試験が横浜のほか仙台、名古屋、京都、大阪、広島、福岡の6会場で実施されたのが始まりです。」(入試センター次長 千葉氏)

解説画像

創立者・米田吉盛氏(1898年~1987年)

日本学生支援機構に引き継がれている国の奨学金制度は、1943年(昭和18年)に設立された大日本育英会が始まりとされており、その10年前には独自で奨学金制度に取り組んでいたことに驚きを感じます。しかも、給付型奨学金が求められる現在からすると、米田氏は80年以上時代を先取りしていた独自奨学金の先駆者といえるでしょう。

「愛媛県出身の米田吉盛は12歳から丁稚で働かねばならない苦しい環境のもと、苦学して現在の中央大学を卒業し、29歳の時に若くして横浜学院(横浜専門学校)を設立したそうです」(千葉氏)

お金に苦労しながらも教育の重要性を体感した創立者自身の半生が、全国の学生を支援する給費生制度につながったことが想像できます。

全国主要都市で給費生試験を実施してきたからでしょうが、神奈川大学では地方出身学生が4割を占め、もうひとつの大きな特徴となっています。

「1970年代までは地方の学生が7割を占めていましたが、90年代には5割まで減少しています。様々な地域の出身者と交わることは学生にとっても得るものが大きく、またそれが本学の魅力だと思います。他大学に比べれば4割でも高いといえるでしょうが、それに甘んじることなく、これからも全国に本学の魅力を伝えていきたいと思っています」(千葉氏)

1ページ目で解説した神奈川大学の給費生試験のハードルは高く、狭き門であることは確かです。しかし、地元の国公立大学に進学しても学費だけで4年間で250万円は必要です。試験会場まで遠くなければ、意欲のある受験生は学費だけでなく生活費まで面倒をみてくれる給費生試験へのチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。
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