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2014年基準地価は3大都市圏で2年連続の上昇(2ページ目)

2014年の基準地価が発表されました。上昇地点の数は3大都市圏で過半数を超え、地方圏でも増加がみられるなど、ジワジワと上がる傾向が広がりつつあるようです。今年の基準地価の動きを確認しておくことにしましょう。

執筆者:平野 雅之


東京圏の基準地価は、東京都のすべての区市が上昇に

東京圏の平均は、住宅地が0.6%のプラスで6年ぶりの上昇、商業地は1.9%のプラスで2年連続の上昇でした。

東京都特別区および人口10万人以上の市の住宅地における平均変動率をみると、東京23区および多摩地域のすべての市が上昇、横浜市および川崎市もすべての区が上昇となっています。

また、さいたま市は岩槻区、相模原市は緑区が横ばいだったのを除き、他の区はすべて上昇でした。それに対して、千葉市は若葉区および美浜区で下落が続いています。

その他の市では神奈川県、埼玉県、千葉県とも上昇の市の数が下落の市を上回り、全体的に上昇傾向が広がりつつあるようです。

商業地も同様の傾向で、東京23区と多摩地域の市はすべて上昇、横浜市と川崎市もすべての区が上昇しています。住宅地は下落ながら商業地は上昇に転じた市もいくつかみられ、商業地の地価回復が先行しているといえるでしょう。

個別の地点では、上昇が1,981地点(住宅地1,292地点、商業地635地点、その他54地点)で全体の59.4%を占め、下落地点は18.2%にとどまっています。とくに商業地では76.0%の地点が上昇でした。

住宅地では、東京都中央区月島三丁目の地点における10.8%の上昇が最も大きく、上昇率の上位10位までは東京都心区が6地点、千葉県が4地点となっています。前年までは上位を占めることの多かった横浜市、川崎市の地点は顔を出していません。

一方、商業地では川崎市中原区内の地点における13.3%の上昇がトップでしたが、上位10地点のうち残り9地点は中央区など東京都心区が占めています。前年は川崎市および横浜市が9地点を占めていましたから、住宅地、商業地とも大きく様変わりしているようです。


名古屋圏の基準地価は、住宅地が2年連続の上昇に

前年は3大都市圏の中で唯一、住宅地が上昇へ転じた名古屋圏ですが、今年も住宅地の平均は0.9%の上昇で、東京圏や大阪圏よりも高い伸びを示しています。商業地の平均も1.5%のプラスで2年連続の上昇となりました。

個別の地点では、上昇が451地点(住宅地296地点、商業地147地点、その他8地点)となり、全体の55.1%を占めています。住宅地だけをみれば54.1%の地点で上昇し、これは東京圏を上回る割合となっています。

人口10万人以上の市の平均変動率をみると、住宅地では名古屋市が2.4%の上昇(港区を除いて、他の区はすべて上昇)だったほか、下落は半田市など4市にとどまり、10市が上昇でした。商業地でも名古屋市のほか10市で上昇しています。

上昇率の上位10地点のうち、住宅地では6地点、商業地ではすべての地点を名古屋市が占めており、この傾向は前年とほとんど変わっていません。住宅地、商業地とも平均の上昇率は名古屋市がいちばん高く、一極集中は名古屋圏でも進行しているようです。


大阪圏の基準地価は、住宅地の動きが他の都市圏と異なる

大阪圏の平均は、住宅地が0.1%のプラスで6年ぶりの上昇、商業地が1.5%のプラスで2年連続の上昇でした。住宅地の上昇率は東京圏や名古屋圏よりも小さく、商業地の上昇率は名古屋圏と同じになっています。

大阪圏内の上昇は537地点(住宅地349地点、商業地188地点、その他2地点)で、前年よりも大きく増えていることは東京圏や名古屋圏と同様ですが、住宅地の上昇は29.7%にとどまり、過半数を超えた東京圏や名古屋圏とはだいぶ様相が異なるようです。

人口10万人以上の市の平均変動率では、住宅地において大阪市、京都市、堺市、神戸市がいずれも上昇だったものの、大阪市の9区、京都市の3区など、いずれも下落の区を含んでいる状態です。周辺の都市でも、下落した市の数が上昇した市の数を上回りました。

商業地でも大阪市北区は8.5%、福島区は8.2%、天王寺区は6.1%、阿倍野区は5.8%など主要区が高い上昇となった一方で、大阪市内の6区は依然として下落が続くなど、地価上昇傾向の広がりは弱いようです。

住宅地における上昇率の上位10地点は、トップが大阪府枚方市だったものの残る9地点はいずれも神戸市です。それに対して商業地は10地点すべてを大阪市内の地点が占め、そのうち4地点は2ケタの上昇でした。

大阪市では中心区の商業地が高い上昇を示しているのとは対照的に、住宅地の地価には大きな動きがみられず、東京圏や名古屋圏とは異なる大きな特徴になっているようです。


地方圏の基準地価は、住宅地が22年連続の下落

地方圏の平均は、住宅地が1.8%のマイナスで22年連続の下落、商業地が2.2%のマイナスで23年連続の下落となりました。下落率は年々小さくなっているものの、上昇は一部の都市にかぎられています。

上昇は前年の832地点から1,436地点(住宅地992地点、商業地393地点、その他51地点)に増えましたが、全体に占める割合は9.6%で、依然として約8割の地点では下落が続いています。

住宅地における上昇率の上位は、前年や前々年と同様に岩手県、宮城県、福島県が占めていますが、前年のように30%を超えるような上昇地点はなく、宮城県石巻市の地点における16.7%が全国で最も大きな上昇でした。

商業地では石川県金沢市の地点が15.8%の上昇となり、全国で最も高い伸びを示しています。来春に北陸新幹線の開業を控えて土地需要も活発になっているのでしょう。

地方圏における人口10万人以上の市の平均変動率は、住宅地で北海道札幌市、宮城県仙台市、石巻市、福島県福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、茨城県つくば市、静岡県三島市、滋賀県大津市、草津市、兵庫県明石市、福岡県福岡市、筑紫野市、春日市、熊本県熊本市、沖縄県那覇市、浦添市の18市が上昇となっています。

同じく商業地の平均変動率では、上昇を示したのが26市にのぼり、地方圏の中心都市などでは住宅地よりも商業地の回復が先行しているケースも多いようです。

また、前年までは地方圏で2ケタの下落地点が数多くみられましたが、今年の基準地価では東京都大島町の商業地における10.0%の下落が最大であり、それ以外に2ケタの下落地点はありませんでした。


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