防災/防災関連情報

デング熱より怖い?国内に存在する毒虫

70年ぶりに感染者が発生した、蚊が媒介するデング熱。幸いなことに蚊の活動時期は間もなく終息しますし、大幅に危険区域が広がることはなさそうですが、アウトドアファンにとってはこれからがハイシーズン。山や高原にはもっと数が多く、致死率の高い病原菌を持つ毒虫が多数存在します。今回はそんな「毒虫対策」についてお伝えします。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

住宅街にも出没するスズメバチ

スズメバチ。気性が荒く攻撃性が強い

スズメバチ。気性が荒く攻撃性が強い

野山を歩いているとしょっちゅう目撃するスズメバチ。非常に攻撃性が強く、刺されると脳天に響くような激痛が走ります。また、アレルギー反応が起きると、アナフィラキシーショックにより1時間以内に死亡する例もあります。

予防方法としては明るい衣服を着て(黒い色に攻撃する傾向がある)、帽子を被ること。蜂に対して手で払ったりなどの攻撃をしない、低い姿勢でその場をそっと離れるようにしましょう。複数の蜂が群れを成しているような場合は巣が近い可能性があります。一斉に襲いにくる場合があるので巣には絶対に近づかないように。ちなみに市販の虫除けスプレーは、蜂の襲撃には全く効果がありません。


もしも蜂に刺された場合は?

身体に蜂の針が残っている場合は(ミツバチなど)、口を使わずに指でつねって針と毒液を搾り出します。専用の吸引器具があればベスト。スズメバチは針を体内に残しません。良く水で洗って冷やすようにして、市販の抗ヒスタミン剤を塗るなどの応急措置をとります。毒液の匂いで他の蜂が集まってくるとも言われるのですぐに処置することが大切です。痙攣や嘔吐、意識不明などのショック症状が出た場合はすぐに119番通報して医療機関による治療を受けなければなりません。以前に蜂に刺された経験がある場合はリスクが高いので厳重な注意が必要です。

恐ろしいマダニ感染症

ペットの血を吸い肥大したダニ。10倍にもなるという

ペットの血を吸い肥大したダニ。10倍にもなるという

全国どこにでも存在する「マダニ」を媒介とするSFTSウイルスによる感染症。2013年1月に国内初の患者が報告されましたが、有効な治療法、およびワクチンも開発されていないので、非常に死亡率が高く、西日本を中心にすでに80人もの患者が報告され、20名以上の方が亡くなっています。

その実態はまだはっきりしていないのが実情で、感染・死亡例の実数はもっと多いかもしれません。民家周辺での感染例もあり、6日から2週間ほどの潜伏期間後、発熱、消化器症状、頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節の腫れ、呼吸器症状、紫斑、下血などを起こし重症化すると死亡します。ほぼ1年中活動するため、屋外では常時注意が必要です。


野外でマダニに咬まれないためには?

マダニは鹿、猪などの野生動物の血を吸い、屋外では草むら、藪などに生息し、葉の裏などで動物の通るのを待ちうけています。マダニの種類は数多く、ペットに寄生する種類のものから感染した例は報告されていませんが、ペットを飼われている方のマダニ駆除は必須でしょう。

秋の行楽シーズン、まだ暑い日も多いので半そで半ズボンで野山を駆け巡りたい人もいるでしょうが、山の中や草木を分け入るような場所では肌の露出を極力控えるようにすることが肝心です。裾から入り込まれないように裾をしばったり、裾カバー(スパッツ)を使用しましょう。屋外から戻ったら、よく玄関外で衣服をはたき、屋内に持ち込まないようにして、早めに入浴して着替えることも必要です。


他にも多く存在する「有害毒虫」

ダニ以外の野山にいる「吸血害虫」には、他にも「アブ」「ブヨ」「ヒル」などが存在し、いずれも肌の露出を極力少なくすることで防ぐことが可能です。「蚊」や「ハエ」の仲間である「アブ」や「ブヨ」などには虫除けスプレーや特定のエッセンシャルオイル(クローブ、ゼラニウム、レモングラスなど)にも効果が認められています。手や首筋などどうしても露出する部分には忘れず塗っておきましょう。

ただし通常の香水や整髪料の匂いは、逆に虫や蜂を呼び寄せる効果があるので、野山に行く際には使用しないように。近年では、これまで国内にはいなかった猛毒の「セアカゴケグモ」が神戸などの都市部で見つかった例もあります。デング熱などの例にもあるように、今後は輸入された「毒虫」や「ウイルス」が国内に侵入し、春まで越冬する可能性もあり、屋外活動には常に注意が必要です。


「毒虫」被害に遭わないために

1.虫のいる場所での半そで、短パンは控える
2.屋外活動には「虫除けスプレー」持参で
3.虫の習性を知って(蜂など)適切に対処する
4.毒虫を屋外から屋内に持ち込まないように注意
5.応急処置できる準備と適切な対処法を知っておく

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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