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場所別・地震対処法!ビル・エレベーター・電車内など

都市部において、地震発生時にいた場所別の対処法をお知らせします。最近全国各地で大きな地震や噴火が観測されるようになりました。今にも起こりうるといわれる、巨大地震に対して対処できるよう備えましょう。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

地震を場所別に対策することは大切なことです

地震を場所別に対策することは大切なことです

ビル・エレベーター・電車内など……都市部において地震発生時にいた場所別の対処法を解説します。今にも起こりうるといわれる、巨大地震に対して対処できるよう備えましょう。
 
<場所別・地震対処法:目次>
   

場所別・地震対処法1:高層ビル・タワーマンションにいた場合

都心にある高層ビル街で地震を感じたらどうする?

都心にある高層ビル街で地震を感じたらどうする?

1995年、阪神淡路大震災直後に神戸・長田区に訪れた自分は、大きなビルが横倒しになったり、マンションやオフィスビルの中層階や一階がペシャンコにつぶれてしまったりしている惨状を目にしました。これはパンケーキクラッシュといわれる現象で、柱が上の階の重さを支え切れなくなってつぶれてしまう現象です。

というのも、当時の神戸地区には、旧耐震と呼ばれる耐震性能の低い建物が多く存在しました。そのため、被害が拡大したのです。新耐震基準で建てられた建物に被害がなかったわけではありませんが、その70%はほとんど被害がなく、一方で旧耐震基準で建てられたものは、70%が全壊に近い大破や壊滅的な損傷を受けていたというデータがあります。

実は、東京や大阪の都心部にもこの「旧耐震」とよばれる1981年以前に建築された建物がまだ多く存在します。ただ、1981年以降に建てられた高層ビルやタワーマンションなどは、より厳しく更新され続けている建築基準法によって、世界でも一番地震には強い建物となっています。ゆえにたとえ「震度7」のおよそ考えられる最大の揺れが訪れても、新しいビルが次々と音を立てて崩れていくようなことにはならない、というのが結論です。

オフィス街を歩いている時に揺れを感じた場合は、「ビルが崩れるかも」という危険よりも「外壁やガラスが降ってくるかも」という心配を先にする必要があります。周囲の建物が明らかに古い建物でなかったら、その中に避難するほうが、落下物から身を守るために良い判断になります。

最新の建物においては、「耐震」だけではなく「制震」「免震」などのさまざまな工法で地震に備えているのですが、後者は地震の揺れそのものをシャットアウトしてしまう工法でより安全な建物になっています。ただし、そんな新しい建物であっても高層階にいた場合、揺れの周期とシンクロしてしまうと、建物そのものに被害がなかったとしても「大きく、長い揺れ」が延々と続く場合があります。こういった現象に備えて、重量のあるオフィス家具や各種電気器具、ピアノや滑車のついた家具などは必ず固定して、人に危害を加えることのないようにしておきましょう。

地震発生時は、倒れてくるもののないエレベータ―ホールや廊下などで揺れがおさまるのを待つ、というのが高層の建物での正しい対処方法です。
 

場所別・地震対処法2:エレベーター内にいた場合

以前、都内で震度4から5の地震が発生し、関東で2万台に及ぶエレベーターが停止したことがありました。そのうち数十台で閉じ込めが発生しましたが、数時間以内にすべて、解放されています。

新しいエレベーターには、「地震時管制運転装置」がついています。この装置が地震を感知すると、最寄の階まで移動して停止、ドアを開けるので、中の人は外に出られるはず……なのですが、実際は装置がついていても、一定以上の地震の揺れを感知すると、機器が壊れるのを防ぐために自動停止し、閉じ込めが発生する場合が多いです。

エレベーターが旧式の場合も、停電になってしまえば閉じ込めが発生します。そんな時にエレベーターから外に出る方法は?とよく聞かれますが、人の力で中から外に出る方法はありません。

ハリウッド映画のように天井から脱出するのも不可能です。揺れを感じたら、まずは停止ボタンをすぐに押して電源がシャットダウンする前に外に出ること。閉じ込められた後は、マイクから管理者を読んで救援を待つしかありません。携帯からの外部への連絡も試してみましょう。あとは大声を出したり、ドアをたたいたりして、無駄に体力を消耗しないほうがいいでしょう。
 

場所別・地震対処法3:地下鉄を除く、電車に乗っていた場合

日中に大きな地震が発生し、満員の電車の中で、いっせいに緊急地震速報が鳴り続け、恐怖の時間を過ごしたという話もあります。

地上を走る電車は、地震の際に脱線、衝突をしてしまう可能性は否定できません。列車車両の中では、実は被害を受ける場所と被害を受けにくい場所との差がはっきりしています。過去の脱線事故の中で死傷者が出ているのは、そのほとんどが先頭車両から3両目までになります。自分は普段からなるべく先頭車両には乗らないようにしています(急いでいる場合はなかなかそうもいかないですが)。

また、車両中央部にいて、吊り輪や手すりで体を固定出来ていない人は、投げ出されてしまい負傷する可能性が高くなります。ドア付近の手すりにしっかりとつかまっていられた人は意外にもけがが少ないと過去のデータが示しています。
 

場所別・地震対処法4:地下鉄に乗っていた場合

地下鉄に乗っているときに地震が発生すると、落盤事故のように閉じ込められてしまうのでは、などという恐怖もありますが、実際は地下での地震の揺れは地上の揺れに比べて小さくなる傾向があります。そのため、地下鉄や地下街で被害に遭う可能性は低いと考えられます。

また、たとえ停電したとしても、非常電源がすぐに起動し、最寄の駅までは移動できるシステムになっています。あわてて車両の外に出ようとするのは、危険が増すと考えたほうがいいでしょう。地上を走る電車とともに、車外に出るのは最終手段と考えてください。
 

場所別・地震対処法5:新幹線に乗っていた場合

「世界一安全な乗り物」である新幹線も、過去、中越地震発生時に脱線事故を起こしています。しかしこの時も負傷者は発生していません。さらにこれに学んでJRは新しい減速システムと脱線防止対策を行っていますので、新幹線での心配はほとんどないと思っていいでしょう。
 

場所別・地震対処法6:映画館・ショッピングモールにいた場合

最近では郊外にも建てられて、多くの人で賑わっている大型娯楽施設やショッピングモール。災害時には、おおむね「安全な建物」と言ってかまわないでしょう。ただし、その場に多くの人が詰め込まれていた場合には、その群衆がリスクになる可能性が高くなります。

過去、花火大会などで多くの死傷者を出している「将棋倒し」による事故は、いったん巻き込まれてしまうと、抜け出すことは難しいものです。冷静に、群衆の流れに入らずにその場で安全を図るしかありません。

映画館やホールなどは建物の耐震性や不燃性が一般の建物よりも厳しくされているため、あわてて移動する必要はありません。防災訓練も常に行われているはずなので、アナウンスなどの指示を待って落ち着いて対処するように。照明などの落下物に注意しながら揺れがおさまるのを待ち、指示に従って所定の場所へと移動しましょう。


どこにいても「ここにはこんな危険がある」という観察力と、冷静に状況を見極める判断力が、あなたの被災リスクを下げてくれることでしょう。

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