防災/防災関連情報

【火災 Q&A】 エレベーター火災 Q&A

「エレベーターに乗っている時に火災が発生したら、どうなりますか?また、どうしたらいいのでしょう。 (IT関連企業勤務 22歳 女性)

執筆者:荒井 健一

質問

「エレベーターに乗っている時に火災が発生したら、どうなりますか?また、どうしたらいいのでしょう。
 (IT関連企業勤務 22歳 女性)


お答えします

エレベーターエレベーターは、建物が高くなればなるほど、その有り難さを実感出来る、とても便利な乗り物です。僕の場合は、「○○デパートのエレベーターは空いていてきれいだからお気に入り♪」と、買い物に行くにしてもエレベーターがあるのが前提でして…。

エレベーターが無い生活なんか考えられないという、肥満街道まっしぐらな日々を送っていますので、火災や地震が発生した時の危機管理対策も結構真剣に考えたことがあります。

皆さんは考えたことありますか?

例えば、「火災が発生した時には、エレベーターを使用しない事!」という言葉を耳にしたこと、ありますよね?
でも、「なんで使ったらいけないのか。」「使ったらどうなるのか?」と、聞かれてもなかなか答えることは出来ない人も多のでは?

「もしも、エレベーターに乗っている時に火災が発生したら?」
「もしも、高層階で下の方の階から火災が発生したら?」

はっきり言って、こんな恐ろしいことは考えたくはありませんが、エレベーターをよく使用する人にとって、とっても重要なことなので知っておいてくださいね。

●エレベーターに乗っていて火災が発生したらどうなる?防災センターのエレベーター運転表示

エレベーターが運転中に火災が発生すると「火災時管制運転」という、二次災害を防ぐ為の運転に切り替わります。
これは、火災報知器との連動でおこなわれる運転(希に手動も有り)で、火災報知器を制御する受信機という装置からエレベーターに信号が送られることで、このモードに切り替わります。

この場合、降りたいフロアのボタンを押していてもキャンセルされてしまいます。そして、強制的に避難階まで移動します。その後扉を開いて、乗客が降りてから休止モードになり、間違って人が乗ってこないように扉が閉まります。

火災時に、ELVに表示される文字←このような表示が出るELVもあります。
(クリックすると新しいウインドウが開き、大きな画像が見れます)





非常電源(自家発)また、火災による停電などでエレベーターが動かなくなった場合は、建物に設備されている非常電源(自家発電設備等)を利用してエレベーターを動かし、避難階まで移動します。

(非常用エレベーターに関しては、この限りではありません。)


●避難するのは、1階でいいの?

基本的には、エレベーターに設定されている避難階というのは1階です。エレベーターの中にいるときに火災に遭遇した場合、一刻も早くエレベーターを地上に出る事が出来るフロアーに移動させ、建物の外に避難しなければいけません。

もちろん、1階以外が避難階となる場合もあります。その場合は、避難と救助活動が一番合理的に出来るフロアーが、避難階となります。

●なんでエレベーターで避難をしてはいけないの?

「火災時管制運転」という機能が付いていないエレベーターでは、火災が発生しても乗ることが出来ます。しかし、エレベーターに乗っている時に火災や消火活動の影響でブレーカーが飛んでしまったら、停電になってしまいます。「火災時管制運転」機能を設置する義務のない年代や規模の建物の場合は、非常電源設備も無い可能性があり、エレベーターは停電した時点で停止してしまいます。

外部への非常通報装置があるのでは?と、言われるかも知れませんが、この設備も規模の小さい建物では、無人の管理人室に通報するだけという可能性も十分考えられます。また、「火災時管制運転」機能があっても、同時に「地震時管制運転装置」が働いた場合は、避難階ではなく一番近い最寄り階に停止する事も十分考えられます。

もしも、その最寄り階が出火元であれば、エレベーター内にある新鮮な空気と一緒にあなたを運んでしまいます。そのフロアーに可燃性ガスが充満して酸欠状態になっていたら、「バックドラフト」という現象がおき、火炎が一挙に噴出して大惨事となるでしょう。

例え、煙だけだったとしても同じ事。煙の危険性が広く知られることとなった「歌舞伎町のビル火災」の事例を振り返ってみてもわかるように、煙は視界を奪うだけではなく、呼吸をするだけでも吸い込んでしまい、一酸化炭素中毒を起こすと体の動きまで奪われてしまいます。危険度からすると火よりも高いのではないでしょうか。

●エレベーターからの避難方法

とにかく、エレベーターからはすぐに降りる事。扉が開かなければ、設置されている非常電話をとりましょう。

もしも、エレベーターが階と階の間に止まってしまったり、扉が開かなくなって閉じこめられてしまっているのに非常電話が繋がらなかったとしても、映画などでよく見るような天井からの脱出だけは、絶対に試みないでください。

多分、実際にやってみても登ることは出来ないと思いますが、いろいろな条件が重なれば、登ることが出来てしまうかもしれないので、一応禁止の理由も書いておきます。

まず、天井にあるのは脱出口ではありません。緊急時の救出用です。しかも、外からは鍵がかかっているはずですので、開けることはできないでしょう。もしも強引に開けたり壊したりすると、エレベーターは停止してしまいますので、例え電気が復電して停電が復旧したとしてもエレベーターは動かなくなってしまいます。

辛抱強く、非常電話が繋がるまでかけ続けましょう。

●エレベーターの外にいる時の避難方法

避難するときは階段を使用しましょう。

階段にたどり着くまでに、煙が充満していたらいくつか注意事項がありますので、覚えておいてください。

煙の中の廊下通路誘導灯煙は、上方向には秒速3~5メートル(人が走る速さの約2.5倍)の早さで移動しますので、エレベーターは煙突状態となり、煙があっという間に上昇してしまいます。横方向には、秒速0.5~1メートル(人が歩く速さとほぼ同じ)の速さで進み、立ったまま逃げると煙に巻かれてしまいます。

煙が充満している中で避難するのであれば、 床から高さ約30センチくらいまでかがみ、ハンカチなどを口にあてて避難してください。その際、廊下通路誘導灯という「誘導灯設備」があれば、矢印の向きをよく見ましょう。これは、しゃがんで避難することを前提に設置されていますので、廊下通路誘導灯を頼りに避難すると避難口までたどり着くことが出来ますので覚えておきましょう

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