損害保険/損害保険関連情報

火災保険で土砂災害や浸水からわが家を守る(2ページ目)

6月から7月にかけて、梅雨による大雨や台風の影響により各地で人命が失われ、家屋にも被害が相次ぎました。8月に入ってからは、台風の影響で四国を中心にかつてないほどの大雨が。こうした災害の影響で、土砂崩れや土石流による被害、床上浸水など、様々な被害が出ています。火災保険では、これらによる住宅等の被害を「水災」としてカバーすることも可能ですが、どこまでが補償の範囲なのでしょうか。以下で解説していきます。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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一定以上の損害、または床上浸水が保険金支払いの条件に

水害保険金は床上浸水以上の損害が対象

水害保険金は床上浸水以上の損害が対象

各種水災をカバーする火災保険の契約をしていれば、住宅や家財の損害をカバーできるのは前述のとおりです。ただし保険金を受け取るには、商品により異なる一定の損害基準を満たすことが必要です。なお、保険金の支払い基準は、前述した内閣府の一部損壊等の基準とは異なるものですし、自治体の被災者支援の基準などとも連動するわけではありません。

例えば、セゾン自動車火災「じぶんでえらべる火災保険」は、床上浸水を条件に、保険金額を上限とした実際の損害額が、保険金として支払われる仕組みです。また、床上浸水による被害では、大量のごみなどの残存物が発生しますが、そのための費用を実費ベースでカバーする「残存物取り片付け費用保険金」も合わせて支払われるようになっています(2013年6月以降補償始期の契約が対象)。

火災保険によっては、損害の大きさに応じて3つの損害区分を設け、それぞれの区分に対応した保険金が支払われる仕組みのものもあります。昔に契約した火災保険で、こうしたタイプが多くなっています。

例えばこんな具合です。住宅等を再取得するのに必要な金額の30%以上の損害額となったら、保険金額を限度に損害額が保険金として支払われます。ただしそれ以下の損害額の場合には、床上浸水を条件に、損害額に応じた保険金が支払われますが、そこには支払い上限額が設けられます。つまり、住宅が30%以上損壊した場合は、修理費の全額が保険金で賄えますが、それより少ない損害額では、必ずしも修理費=保険金とならないことがある仕組みです。

火災保険によっては、水害保険金の上限を保険金額の7割としている商品もありますので、確認しておきたいところです。また、損害区分の設け方や基準は火災保険により異なりますので、個別に確認が必要です。

水害保険金が支払われる場合、合わせて「臨時費用保険金」が支払われることもあります。その場合、見積もられた損害額に対応する保険金のみならず、損害保険金の10~30%など、あらかじめ定められた保険金がさらに上乗せされます。こうした場合、損害保険金よりも多くの保険金を受け取れるので、覚えておいてください。

また、損壊や床上浸水などの損害が発生した場合、住宅のみならず、電化製品や家具などの家財にも、損害が発生することが多いでしょう。その場合、建物に対する火災保険だけでなく、家財に対しても火災保険をかけておかないと、家財の損害はカバーできません。マイホーム世帯の方は、建物・家財の両方の契約をしているか、確認しておきしましょう。家財の契約をしていないケースは、意外に少なくありません。

また、全労済が取り扱う「自然災害付火災共済」や、都道府県民共済が取り扱う「新型火災共済」は、水害により支払われる共済金の上限額が共済金額全額とはなりません。大きな被害が発生した場合には、共済金だけで復旧を図るのは難しいと心得ておきましょう。

【関連リンク】
内閣府防災情報のページ「梅雨期における大雨等による被害状況等について」
内閣府防災情報のページ「台風第8号及び梅雨前線による被害状況等について」
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