100年店ランチ/東京の100年店ランチ

人形町今半新宿高島屋(すき焼き/新宿/創業1895年)

あの有名店の味をリーズナブルに……今回は、牛食文化の拡大に寄与した今半の料理を気軽の楽しめる「人形町今半 新宿高島屋」のイートインコーナーをご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

新宿高島屋の地下食品フロアに、「人形町今半」のイートインコーナー

精肉販売店の右奥にある同コーナー

精肉販売店の右奥にある同コーナー

開発が進み、どこまで開発計画があるのかわからない新宿駅南口エリア。現在その象徴的な存在として百貨店や東急ハンズなど専門店で構成されるタカシマヤスクエアがあります。同スクエアを運営する新宿高島屋。14階のレストランフロアに「人形町今半 新宿高島屋店」がありますが、今回はそちらではなく地下1階の食品売り場へ足を運びます。精肉店の横のこじんまりとした食事処……こちらが今回紹介する「人形町今半 新宿高島屋 イートインコーナー」です。

初めてだと見落としてしまいそうな小さな空間。同コーナーの後方には一瞬従業員用?と思ってしまうような通路がありますが、こちらは隣接する紀伊国屋書店(新宿南店)への通路です。

創業は1895年(明治28年)

言わずと知れたすき焼きの有名店、今半の歴史は明治の文明開化に大きく起因します。それまで習慣がなかった“牛”を食べるという流行の中で、初代が1895年に本所吾妻橋に牛鍋店を始めたのが同店のスタートです。

新宿高島屋

新宿高島屋

牛鍋人気の高さから当時、正規ルート以外の肉がたくさん流通。明治政府公認の食肉処理場が芝白金今里町(現在の白金あたり)にあり、差別化を図りたい思いから今里の“今”を屋号に入れる店が増加します。同店も初代の半太郎の名前と組み合わせ、「今半」の名が誕生。現在今半の流れをくむ店は複数ありますが、人形町今半は1952年に浅草今半の日本橋支店が独立して今に至っています。

では、同店の大元の創業年、1895年とはどんな時代背景だったのでしょうか……前年の日清戦争の講和条約の調印が行われ、台湾が日本領になります。ちなみに現在の標準時は兵庫県明石市を通る東経135度の1つで国内に時差はありませんが、台湾の西を通る東経120度をもとに西部標準時ができ、翌1896年から国内に2つの標準時により1時間の“時差”が存在することに……(余談でした)。時の内閣総理大臣は伊藤博文。勝海舟72歳、徳川慶喜58歳、夏目漱石28歳、芥川龍之介3歳……そんな年に今半もその歩みを始めています。

では、今につながる牛食文化を広げたすき焼き店へと参りましょう。
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