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ダンサーズ・ヒストリー イデビアン・クルー 井手茂太(5ページ目)

ダンスカンパニー『イデビアン・クルー』の主宰であり、自身もダンサーとして活躍する井手茂太さん。カンパニーでの活動のほか、演劇やミュージックビデオ、CMなど、多彩なジャンルの作品を手掛ける超売れっ子振付家です。彼がダンスの道を志したきっかけとは……。ここでは、井手さんのダンサーズ・ヒストリーをご紹介します。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


振付、演出、そしてダンサーとして

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『不一致』

これまで日本はもちろん、世界7か国35カ所で作品を発表してきた。バレエを下敷きにした大作『コッペリア』に、ソロ作品『井手孤独』、旅館をモチーフにした『排気口』と、話題を呼んだ作品は数多い。なかでも井手さん自身思い出深いと挙げるのが、2000年に発表した『不一致』。作品の舞台はお葬式。白と黒の鯨幕で囲まれたステージ上で、喪服を着たダンサーが踊りまくる。床にはリノリウムの代わりに一面に畳を敷いた。
「畳の上で踊りたいと昔から思っていて……。それに、小さい頃から婚礼が身近にあったので、逆に葬儀にある種憧れがあったのかも(笑)」。

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『不一致』

『不一致』はイギリスでもツアーを行っている。日本ならではの文化は、異国の地でどう受け止められたのか。
「葬儀といっても、全体にラテンの曲を使ってる。だから、“一体何なんだろう?”って思われたかもしれません(笑)」

振付・演出と平行して、井手さん自身もダンサーとして舞台に立つ。

 
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『排気口』

初期は振付に徹することが多かったが、出演が増えたのは2008年の『排気口』から。ゲストで招いていたザ・フォーサイス・カンパニーの安藤洋子に「出ようよ!」と誘われ、「世界の安藤洋子と踊るチャンスなんてそう はない!」と出演。
「あれから勢いがついちゃって……(笑)。ただ、ちょっと踊りすぎたかも。今は、振付とダンサーの比重を半々でいきたいなって考えてるところです」。

ダンス作品の他、芝居やミュージカルの振付も多く手がける。例えば音楽劇にシェイクスピア劇、ナイロン100℃をはじめとした人気劇団の舞台と、作品のジャンルもテイストも実に様々。もちろんキャストの大半はダンスの素養を持たない、いわば素人だ。

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『排気口』

「ただ、作業は基本的に一緒なんですよね。その人を見てると、自分の中 でイメージが湧いてきて……」
さらに、素人ならではの楽しみがあると語る。
「普段踊らない人が踊ったら可笑しいじゃないですか。それはバカにしている訳ではなくて、踊りがヘタなひとでも何かひとつ不思議な取り柄があったり、それをまたフィーチャーするとカッコ良く見えたりする。そういう部分をどんどん発掘してつなげたときに、すごいものができる。それは素人の方が面白い。ダンサーだと、どうしても型にハマった動きになってしまうので」



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