マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

管理組合に求められる「反社会的勢力」の介入対策

今秋、みずほ銀行と暴力団との関係が明らかになりましたが、反社会的勢力の魔の手は多方面に伸びており、実は分譲マンションにも介入する事例が散見されています。一度、暴力団事務所として使用されてしまうと、その排除には何倍もの時間と労力が必要になるだけに、管理組合には一丸となって反社会的勢力を未然にシャットアウトする努力が求められます。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


みずほ銀行

反社会的勢力との取引が明らかになった、みずほ銀行

9月27日、メガバンクのみずほ銀行に対し、金融庁から業務改善命令(行政処分)が言い渡されました。販売提携ローンにおいて、多数の反社会的勢力との取引が存在することを把握しながら2年以上も反社会的勢力との取引の防止・解消のための抜本的な対応を行なってこなかった ―― というのが、その理由です。

当初は「反社会的勢力との取引が存在するという情報は担当役員止まり」と言っていたにもかかわらず、内部調査の結果、一転、「経営陣まで一定の報告がなされていた」と訂正されました。反社会的勢力と断固として対決する旨を掲げた同行の企業行動規範が、結果的には十分に機能していなかったことを世間に露見した格好です。

反社会的勢力とは暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれらに準ずる者、またはその構成員などを意味します。2011年10月、東京都民の安全で平穏な生活を確保し、また、事業活動の健全な発展に寄与することを目的に「東京都暴力団排除条例」が施行されました。タレントの島田紳助さんが暴力団関係者との親密な関係を理由に、突然、芸能界を引退したことで暴力団排除条例に対する認知度が高まり、反社会的勢力排除の社会的機運が一気に高まりました。われわれの暴力団に対する意識は大きく様変わりました。

マンション管理組合にも忍び寄る「反社会的勢力」の恐怖の魔の手 

しかし、施行から2年。今秋、みずほ銀行との関係が明らかになったように、反社会的勢力の魔の手は多方面へ伸び続けています。驚いたことに、分譲マンションの管理組合運営にも介入する事例が散見されています。

国土交通省が行ったヒアリング調査によると、下表のようなトラブルが実際に管理組合の中で起こっていました。マンション大規模修繕に絡む工事費の詐取や連続発砲事件と、いずれも極端な事例ではありますが、区分所有者の生命と財産を脅かす凶悪行為が現実のものとなっています。
マンション内での暴力団とのトラブル実例

 

それだけに、マンション管理組合は「購入」(所有形態)であろうと「賃借」(占有形態)であろうと、暴力団をマンション内に入居させないようにしなければなりません。と同時に、もし入居されても追い出せるように法整備を強化しておくことも必要です。管理規約を改正し、専有部分の使用禁止や競売(強制売却)請求、引き渡しなどの請求がしやすくなるよう予防線を張っておくのです。

マンションの一室を暴力団組事務所として使用する行為は「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当ことが裁判例でも肯定されています。一度、暴力団事務所として使用されてしまうと、その排除には何倍もの時間と労力が必要になります。それだけに、管理組合が一丸となって反社会勢力を未然にシャットアウトする努力が求められます。

そこで、次ページでは管理規約改正の参考となるよう、条文例をご紹介します。

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