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国民皆保険はどうなる? TPP加盟後の保険(2ページ目)

TPPによって国民皆保険はどうなるのでしょうか? 国民皆保険はなくなり、個人で医療保険に入る、または、自ら保険を選ぶ時代が来るのでしょうか? グローバルの流れの中で、健康で、病気になっても安心できる社会であって欲しいものです。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

TPP締結後、日本の保険制度でおきうること

TPP締結後、日本の保険制度でおきうることをパターン別にまとめてみます。

■現状維持
医療

医療は生活に密接な関係なだけに他人ごとではありません

各国の事情があるため、そのままとして、制度は除外項目になる、という考え。その場合、制度は現状維持となりますが、現制度は医療費の上昇に耐えうるものではなくなっています。TPP締結による影響を受けなかったとしても、今後の医療制度改革を自ら行っていく必要があります。


■完全自由化
TPP締結によって、民間医療保険が参入してくると予想されます。その場合、民間医療保険会社は利益を出さないと維持できませんので、参入する世代、職種などを限定してくる可能性があります。確実に保険料を支払って、給付が少ない世代、職種です。そして、低所得層や高齢者については、公的医療保険で補うことになります。今の民間の医療保険と同じですから、既往歴で医療保険への加入を拒否されたり、給付を限定してくる可能性があります。それによって医療格差が起こってくる可能性があります。医療保険に加入できない人へのセーフティネットを国が作る必要がありますが、その場合、今の税負担分より少ないのかしっかりと検証する必要があります。保険加入できない人が生じる点では、国民皆保険は維持できなくなります。

■一部自由化
これはもっともありうるシナリオなので、しっかりと考えてみたいと思います。TPP締結によって公的医療保険と民間医療保険の併存が起きるというケースです。

公的医療保険ではある一定の割合または病気によって給付が決まっており、それ以上は民間医療保険で補う形になると思われます。公的医療保険と民間医療保険との割合によっては、医療格差が生じる可能性があります。例えば、薬の費用は民間医療保険にすれば、民間医療保険料の支払いができない人は、薬なしまたは自費にある可能性があります。同じ病気でも経済的理由で受けられる治療に格差が生じることになります。

公的医療保険はそのままで、さらに先進医療に対して民間医療保険を使う場合は、混合診療の解禁になります。ただし、先進医療には高額医療費がかかりますから、支払いが多いと予想されます。たとえば、がん治療で粒子線治療を受ける場合、自費では約300万円かかります。混合診療原則禁止の現状では、粒子線治療を行う場合、今の公的医療保険で適用されるがんの検査、化学療法、外科療法は自費になってしまいます。それを例外的に、粒子線治療が先進医療として認められると、公的医療保険で適用されるがんの検査、化学療法、外科療法は公的医療保険の適用になります。混合診療が可能なのは先進医療と認められた場合のみで、先進医療と認められない場合、すべて公的医療保険適用外になってしまいます。混合診療可能になれば、民間医療保険が公的医療保険適応以外をカバーすることになるのですが、当然、そこには、格差が生じます。300万円の治療が可能なら保険料は高いでしょうし、数万円の治療までなら保険料は安いでしょう。当然、年齢によって保険料も変わってくるでしょう。イメージとしては、今の生命保険、がん保険などをイメージすると判りやすいかと思います。


どのような形であれ、国民が安心して生活を送って生きていける制度が望まれます。助け合いか、自己防衛か……。しかし、すでに少子化で今、助け合いの状態では維持できなくなっているのも現状です。これを機会に、今の医療制度について考えてみてはいかがでしょうか?
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