食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

低カロリー・食物繊維豊富な寒天

これから暑くなって来ると、冷たくツルンとした口当たりのお菓子や料理が嬉しい季節です。凝固剤となるものには、寒天、アガー、ゼラチンなどがありますが、今回は日本の伝統食材でもある寒天についてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

ダイエットを目的に、品薄になるほどのブームに

棒寒天

角寒天(棒寒天)。家庭で和菓子を作る時にむいています。

寒天やアガーは植物性の藻類を原料にしており、ゼラチンは動物性のタンパク質の一種コラーゲンを原料としています。これらの性質や使い方の違いなどは、後のページで説明します。このページでは、寒天に含まれる栄養素や注目される機能性成分についてご紹介します。

お菓子の材料に使われる材料としての角寒天(糸寒天含む)は、100g中154kcalで、74.1gが食物繊維で最も食物繊維が多く含まれる食品と言われています。ゼラチンが100g中344kcalで、食物繊維は含みません。低カロリーで食物繊維が豊富ということでダイエットや生活習慣病に役立つとメディアで取りあげられ、2005年には寒天ブームとなり、スーパー等の売り場では品薄状態が続いたこともあります。

こうしたブームにはすぐにのらずに、冷静に見てほしいものです。確かに寒天は、同じ凝固剤のゼラチンよりは低カロリーで食物繊維も豊富ですから、食物繊維が不足しがちな人にはよい補給源になるでしょう。またカルシウム660mg、マグネシウム100mg、糖や脂肪の代謝に関わるビタミンB群のパントテン酸0.46mg等を含みます。ですから日々の取り入れて使うにはよいでしょう。

ただし、お菓子や料理として使う際には、水分に溶かして使うわけですから、そのままの栄養価ではありません。角寒天2.2gを使った寒天(料理)では、100g中3kcalでほとんどエネルギーはありませんが、食物繊維は1.5gになってしまい、カルシウムなども目立つほど含まれません。

また寒天はほとんどノンカロリーでも、他に使う食材や加える糖分によってはカロリーが多くなることもありますから、過大な期待をしすぎたり、偏った食べ方等はしないようにしたいものです。

寒天に含まれる成分に注目の機能性とは

テングサ,晒す

寒天の原料のテングサ。紅色をしていますが、日光にさらして脱色しいから使われます。

食物繊維を豊富に含む食材として寒天は注目され、寒天の食物繊維由来のトクホ(特別保健用食品)などもあります。寒天に含まれている食物繊維はアガロース:アガロペクチン(7:3)などで構成されています。

食物繊維には余分なコレステロールを排出する、整腸作用などがあると考えられていますが、とくにアガロース・アガロペクチンを分解してできるアガロオリゴ糖には、抗炎症作用、抗関節炎作用、アトピー性皮膚炎抑制作用、解毒作用、日肌作用などといった機能性があるのではないかと考えられ(参考/タカラバイオ株式会社)、健康食品などに利用されています。

他にも、食品以外には、寒天は植物の組織や微生物の培地として、また
歯科医療に用いる印象材としても利用されています。

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