フレンチ/全国のフレンチ

ユカワタン(軽井沢)(3ページ目)

軽井沢は星野リゾートのホテルブレストンコートにある一戸建てのレストラン、「ユカワタン」。そこには信州の食材とワインを使った創造的で革新的な新しいフランス料理の姿があった。それを私は日本初の「ガストロノミー・ナチュール」と呼びたい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

日本の「ガストロノミー・ナチュール」へ

ユカワタン

チーズは「料理」としてサービスされる

フロマージュを切り出すだけで終わらせない、料理としてのフロマージュに感銘を受けた。ひと工夫、ふた工夫と手のかけ方に繊細な日本の料理人の技を思う。

そしてデザートへ。柚子のコンポジション、これは少し酸味が強いと感じたのだが素材を最大限に生かしたいというシェフの味覚によるもののようだ。

最後まで下げられなかったアシェットは青木良太氏の作品でシェフの熱い思いが込められている。色の最高峰であるゴールドのアシェットはユカワタンの中心的存在であり、ボキューズ・ドール・国際料理コンクール日本代表として世界に挑む浜田シェフの心中を反映させる色であろう。和風フレンチではない日本のフランス料理を確立するためにその地の料理をより深く考え、一つの食材を徹底的に進化させようとする浜田シェフの思想。

ユカワタン

知らせていなかったのだが筆者の誕生日に合わせたサービスに驚き、そして感涙

自ら土を触り、川へ行き、自然に触れる。そのときに思いついたことはすぐさま手にメモをとり、実行に移していく行動力。日本を深く愛するからこそ生まれる浜田シェフのフランス料理は懐石料理のような繊細さが目に写される。

フランス料理の殻を破り、日本の技法を融合させたフランス料理を世界へ発信していこうと試みる浜田シェフの進化にさらなる期待が波を打つ。湯川を流れる自然の先に行き着く美食のありかをユカワタンは教えてくれる。

これまで多くのフランス料理を食してきたが、軽井沢という立地、家に帰る心配をしないでいいことなど、非日常性はともかくユカワタンの料理そのものが今の日本の美食を見事に表現しているといっていい。そこに言葉をつけるとしたら「ガストロノミー・ナチュール」といったところか。
ユカワタン

デザートのデザイン性も極めて高い

この夏もホテルブレストンコートでは8月7日~10日、「軽井沢スイーツ博2012」が開催される。昨年は、延べ2000人が来場したという夏の超人気企画で、今回は「スイーツサーカス」をテーマ。あっと驚くスイーツワールドが展開されるだろう。メイン会場の「夢の世界をスイーツで体感~ステージStage~」では、パティシエたちが音、光、炎、映像などの演出とともにスイーツコースを創作。進化するスイーツの世界が堪能できるとあって人気はうなぎのぼりだ。この夏、ぜひ訪れてみたい。

そして、翌朝に用意されるブレストンコート内ノーワンズレシピの朝食も感動ものだ。
軽井沢

デザートのデザイン性も極めて高い

軽井沢 ホテルブレストンコート ユカワタン
アクセス
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます