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大震災は住意識と住宅にどう影響を与えたか(2)(2ページ目)

前回は東日本大震災を境に、日本人のエコ意識と家族意識、女性の住宅構造や耐震性への関心度が大きく高まっていることをお話しました。今回は「3.11が変える住宅市場60万戸時代」というテーマでプレス発表を行った「あの企業」を紹介。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

震災後の生活見直し意識を汲んだ商品とは

BESS「Smart Country」内部

階段を上がると、ファミリーのスペースとしても書斎としても使用できる、コンパクトながらも開放的な空間が広がる

空き家700万戸超、リーマンショック以前の年間100万戸時代から半減近くに縮小すると予測される新設住宅着工数。そんな厳しい状況の中で、BESSはログハウスマーケットの拡大をイメージしているといいます。その根拠は、3月に起きた東日本大震災以後の生活者マインドの変化です。

同社がその根拠としたデータは、リサーチ&ディベロップメントとクロスマーケティングによる共同調査(4月8日~11日WEB調査)。それによると、東日本大震災前後で変化した暮らし方への志向や価値観は

・あくせくせず、のんびりやりたい…68%→74%
・節約のためにモノを大事にしたり、エネルギーの使い方に配慮したい…48%→59%
・日本の伝統的な暮らしを大切にしていきたい…45%→57%
・古くからあるものの良さを見直して生活に取り入れていきたい…35%→44%

BESS「Smart Country」

シックなグレーの外壁が都会の町並にマッチするBESS「Smart Country」クールテイスト

…と生活を足元から見直して本来の生活をしたいと“気づいた”人が増える傾向にあるといいます。

こうした「個人から社会志向」「利便性から持続性志向」「トレンドから本質志向」に軸を寄せていくことで、60万戸市場でも消費者に支持されるという狙いからこのほど同社がリリースしたのが、「Smart Country」。“現代人が都会でも自然体で過ごせるカントリーライフ”をテーマにし、アウトドア派だけでなく都会のインドア派も巻き込むことを狙った新しいログハウスです。

外観は、ログ材を組んだ外壁をシックなグレーに塗装。ログハウスにありがちな無骨さやむき出しナチュラルさはなく、都市の町並みにも溶け込む風情。モデルハウス内では、夫のプラモデル、虫のコレクション、鉄道写真…などインドア趣味でも楽しめるよう演出。実際、純自然ナチュラルなログハウスは無理と考えがちな層でも、「こういうログハウスなら都会でもOKかも」と巻き込めるようなリアル感があります。

震災後の新しい購買層に「都会でログハウス」をあえて提案

ラフで自由な雰囲気、プライベート空間とオープン空間の適度な関係、木に囲まれた心地よさなどは従来のログハウス同様ですが、無垢の素材に現代的なカラーが塗られていたり、白い板壁に住人が自分らしい工夫を施すことのできるキャンバスのような仕掛けがあったり、”ログハウスは茶色”という概念を打ち壊す狙いかもしれません。
BESS「Smart Country」内部

白板の壁と無垢の板のマッチングで、ログハウスに都市カラーを出している



顧客の6割は「家を建てる予定はなかったのに、BESSに遭遇して家を建てたくなった」という、他のハウスメーカーの購買層とは一風変わった顧客層を持っているとか。「遊び心」を持ち込んだ提案で男性の心を捉え、着実にファンを増やしています。

同社関係者によると、とくに震災後は、「本質的な価値観に反応する人が多くなった。今まで来なかった人も動き出した」と手ごたえを感じているかとか。「エコな生活をしたい」「いいものを長く大切に使いたい」「本来の人間らしい生活をしたい」といった軸に強く振れている震災後の消費者マインドに、都会ログハウスはどこまで食い込むことができるかが注目されます。
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