漢方・漢方薬/冷え・むくみ・だるさ・夏バテの漢方

五苓散(ごれいさん)

五苓散(ごれいさん)は、むくみ、下痢、暑気あたり、尿量の減少、のどが渇くのに飲んだら吐き出すような症状に用いられる漢方薬です。飲酒後の吐き気や船酔いなどにも応用できます。

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

「五苓散」はどんな人・どんな症状にいいの?

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夏場冷たい物を食べすぎてお腹を壊し、嘔吐や下痢をした時にもおすすめ
 

口が渇き、尿の出が悪いタイプのむくみ、下痢、頭痛、発熱、めまい、咳などに。

「五苓散」の効果

吐き気、嘔吐、むくみ、下痢、おりもの、暑気あたり、頭痛、発熱、めまい、咳、呼吸困難などに使用されます。

 

「五苓散」に入っているもの

五苓散

画像提供:道修町漢方薬局
 

沢瀉(オモダカ科の塊茎)、茯苓(サルノコシカケ科の菌核)、猪苓(チョレイマイタケの菌核)、白朮(オケラなどの根茎)、桂枝(クスノキ科のケイの若枝や樹皮)

「五苓散」が合わない人

高熱や炎症によって生じる、のどの渇きや尿量の減少には不向きです。

「五苓散」の飲み方などの注意点

■飲む時間 一般的には食事と食事の間の空腹時、食事をする1時間前など、お腹が空で胃に吸収されやすい時期に飲みます。胃腸が荒れやすい人には食後、排便をうながすタイプの漢方には、空腹時の服用を勧める場合もあります。なお、食間に飲み忘れたときは、食後でいいので飲みましょう。

■「水」or「白湯」?
症状によって、冷たい水で飲むほうが効果的な場合(その反対も)もありますが、基本的には生薬を水で煎じた「煎じクスリ」の場合は、人肌に冷まして飲みます。生薬の有効成分を抽出して乾燥・加工した「エキス剤」の場合、お湯に溶かしたり、水と一緒に飲んでください。

「五苓散」の副作用

体質や症状に合わない、西洋薬との併用、アレルギー体質などの場合、不快な症状が出ることがあります。ちょっとおかしいな、と思ったらすぐ服用をやめ、漢方の専門家や処方してくれた医師に相談しましょう。

「五苓散」が買える場所

漢方薬局や病院、診療所、ドラッグストアなどです。
代表的な商品名:(アイウエオ順)
  • 一元 五苓散 (一元製薬)
  • かんぱう 循々五苓散 (松浦漢方)
  • クラシエ漢方 五苓散料エキス顆粒 (クラシエ薬品)
  • コタロー 五苓散料エキス細粒  (小太郎漢方製薬)
  • ツムラ漢方 五苓散料エキス顆粒 (ツムラ)

「五苓散」の漢方的メカニズム<中級者向けトリビア>

余計な水分が体内にたまって起こるさまざまな症状を改善させる処方ですが、その原因もいろいろ。風邪の影響で膀胱の機能がおとろえ、尿の出が悪くなっている場合もあれば、胃腸虚弱からむくみや下痢になるケースなどもあります。

■具体的な生薬の効能
主薬は、体内にたまった水分を膀胱から外へ排出させる作用のある沢瀉。茯苓と猪苓がその作用を強め、白朮は胃腸の機能を整えながら利尿効果をサポートします。桂枝はカラダを温めながら血行を促進し、全体で体内にたまった水分の流れを改善させます。

「五苓散」のおまけのエピソード

五苓散があれば●苓散もあるのでは……?という読者のギモンに備え、付随する漢方薬を2つ紹介しましょう。ひとつは五苓散からある生薬を除いた四苓散(しれいさん)。はぶいたのは桂枝で、同じく水分代謝異常による尿量の減少やドロ状の便に用いられるものですが、冷えの症状がなかったり、やや熱っぽい症状がある場合に向いています。

もうひとつは、茵陳五苓散(いんちんごれいさん)。五苓散に茵陳蒿という生薬をプラスしたもので、湿熱をともなう黄疸や下痢にオススメです。茵陳蒿はカワラヨモギの幼い苗で、黄疸の要薬として有名ですが、最近では急性ウイルス性肝炎などにも用いられています。
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