婦人病・女性の病気/月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)の改善法・治療法・受診の目安

月経前症候群(PMS)の改善には、日常生活の見直しが不可欠。アロマやハーブティーなどストレスを減らすためのセルフケアレベルの対処法・改善法と、ピルの服用など病院で受けられる治療法についてまとめました。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

ハーブティー・アロマ・サプリメント……
生活の見直しと上手なリラックスがPMS改善に有効

辛い時は1人で頑張らずに専門家の助けをかりましょう

PMSの症状が辛い時は無理をせず、婦人科や心療内科で専門家の助けを借りましょう

ストレスや栄養の偏りはPMSを悪化させるため、症状がひどいときには可能な限りハードワークを避け、ストレスを溜めないようにすることが大切。

ハーブティーやアロマなど、自分なりのリラックスアイテムを上手に取り入れ、気軽に気分転換できるようにするのもオススメです。ビタミンが欠乏することでもイライラ感が増すことがあるため、ハーブティーを飲むときはローズヒップやハイビスカスなどビタミンCが豊富なものを。PMSでむくみが気になる場合は、ダンデライオン(タンポポ)など利尿効果のあるハーブティーを飲むといいでしょう。

お風呂の中に製油をたらすアロマバスやアロマオイルでのマッサージは、自宅で簡単にできるリラックス法の一つ。ホルモンバランスを整えてくれる代表的なアロマオイルは、ゼラニウム、クラリセージ、イランイラン、サイプレス、ローズなど。最近はこれらのオイルがあらかじめブレンドされているマッサージオイルも市販されているので、香りの好みに合わせて楽しんでみてください。

また、パン、ご飯、麺類などの炭水化物や甘いもの、カフェイン類などの嗜好品を摂りすぎないように気をつけ、緑黄色野菜、小魚、ナッツ類を接触的に摂りましょう。ビタミンB群やE群、γリノレン酸、カルシウムをサプリメントで補うのも効果的です。チェストツリーやセントジョーンズワットなどのハーブは、PMSの症状を緩和させると言われています。できれば、コンビニや量販店ではなく、医療機関やサプリメント専門店で添加物の含まれていないオーガニックなものを購入することをお薦めします。サプリメントアドバイザーがいるクリニックを探したり、主治医にお勧めのサプリメントを教えてもらうのもいいでしょう。

PMS治療に……改善効果が期待できる低用量ピル

低用量ピルで排卵を抑えるとホルモンの波が一定になるため、PMSの症状が治まることがあります。完全に症状がなくならなくても、大きな症状をごく小さなものに留めることができます。

今でも医師としてピルをお勧めすると、昔の副作用のイメージがあるのか、最初は抵抗感を示される患者さんは少なくありません。月経前のひどいめまいと腹痛で悩んでいたある患者さんも、最初はピルの服薬を渋っていましたが、ピルを開始したとたんに症状がすっかりなくなり、月経そのものも非常に軽くなり、「こんなに楽になれるならもっと早く試せばよかった」と喜ばれていました。

他にも、むくみやめまいを改善するために漢方を併用したり、精神的な症状を改善するために、不安や気分の落ち込みに有効な薬を使った方がいい場合もあります。ピルを飲んでも精神症状は改善しないこともあるので、この場合は婦人科と一緒に心療内科でも相談してみるといいでしょう。

PMSでの病院受診の目安は「つらさの程度」

PMSは精神的な症状がメインのことも多いので、「こんなことで病院に行くなんて」「自分の我慢が足りないだけではないだろう」と受診をためらってしまう方も多いようです。でも、少なくとも自分でつらいと感じる症状があったり、日常生活に支障が出ているようであれば、早めに婦人科で相談してください。漢方やピルでかなりの改善が期待できるので、我慢しない方がよいのです。

特に精神症状が強い場合は、心療内科や精神科での治療が有効な場合も多いので、定期的なカウンセリングを受けたり、軽い精神安定剤などを併用しながら月経のリズムと上手に付き合っていく方法を探していきましょう。

PMSの症状は自分でも周りからも理解しにくいものがありますから、自分で自分を責めてしまう方も少なくありません。先日いらした患者さんも、「私の性格が悪いんじゃなかったんですね。病気だって分かって安心しました」とおっしゃってました。「あなたのせいではありません。一緒にPMSとの付き合い方を探していきましょう」とお伝えしたところ、ポロポロと涙をこぼされました。きっと今までずい分我慢なさっていたのでしょうね。

月経サイクルのどの時期に症状が出やすいのかを自分で把握するだけでも、症状の緩和につながることがあります。基礎体温表に心身の症状を一緒に記録する『月経日記』は、自分の調子が悪くなりやすい時期をあらかじめ把握して仕事の量やスケジュールを調節することができるので便利ですよ。いつもの手帳に書きとめる程度でよいので、まずは3ヶ月を目安に、月経周期のいつ頃どのような症状がどの程度出たのかを簡単に記録することをお薦めします。
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