胃がん/胃がんの原因・症状・進行

ヘリコバクターピロリ菌と胃がん(2ページ目)

最近、テレビや新聞でもよく目にする、ヘリコバクターピロリ菌。以前は、繰り返す胃潰瘍や胃炎の原因と言われていましたが、最近では、胃がんとの関連も指摘されています。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

基本は、繰り返す胃炎・胃潰瘍ですが……

繰り返す胃炎・胃潰瘍
ピロリ菌感染の症状の基本は、繰り返す胃炎・胃潰瘍です。しかし、近年の研究では、胃がんとの関連も明らかになっています。
ピロリ菌は、ウレアーゼという物質を産生することによって胃酸を中和。強酸性という厳しい環境でも生息・増殖し胃粘膜を攻撃していきます。

従来は、繰り返す胃炎・胃潰瘍の原因になると考えられてきましたが、近年の研究でさまざまな経路で細胞障害を起こすことが明らかになり、胃がんを引き起こす可能性があることもわかってきました。

ピロリ菌の有無は、従来は胃十二指腸内視鏡検査で胃粘膜の一部を採取してくることが必要でしたが、近年では尿素呼気試験や糞便中のピロリ菌抗原検査など体に負担の少ない形で検査ができるようになっています。


ピロリ菌は、除菌が可能です

ピロリ菌は除菌可能
ピロリ菌感染がわかった場合でも、ご心配は無用です。ピロリ菌の除菌の方法が、すでに確立されています。
ピロリ菌は、菌ですから適切なお薬を使えば除菌が可能です。現在では、3種類のお薬を一週間服用する除菌治療が保険適応となっています。

一時的に、便がゆるくなったり、味覚の異常が起こったりと言った副作用が見られるケースはありますが、おおむね安全に行うことができる治療法です。ただ、成功率は80%前後であり、中には除菌できない例もあります。

また、最近では、乳酸菌や緑茶カテキンといった食品にもピロリ菌の増殖を抑える働きがあるということがわかってきています。しかし、実験室のデータのみで、ヒトでの臨床試験が行われていないこともあり、まだその効果については、コンセンサスが得られているわけではないのが現状であり、今後の、さらなる研究が期待されています。

いずれにしても、胃炎や胃潰瘍を繰り返しておられる方は、是非、健康診断を受けていただき、ピロリ菌感染が判明すれば、積極的に除菌治療をされることをおすすめします。



【関連リンク】
がん検診だけが、がんの早期発見の手段ではありません。
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