統合失調症は、陽性と陰性の症状タイプに分けられます
統合失調症は代表的な心の病気の一つです。この病気は10代、20代の若い年代に発症する事が多く、発症率は人口の1%前後です。統合失調症は日常生活に大きな支障を生じさせる可能性があり、軽くみることはできません。病気の発症後、治療を受けないでいると、その症状のため、発症以前のような生活を送ることは通常困難です。
今回は統合失調症とはどんな病気なのか、うまくイメージできますよう、その症状をメインに解説します。
統合失調症の症状……陽性症状と陰性症状の違い
統合失調症の症状には大まかに「陽性症状」、「陰性症状」という2つのタイプがあります。その違いの目安は、陽性症状は幻聴など、本来あるべき、あるいは見られるべきではないことが現われていること。一方、陰性症状は感情の鈍磨など、本来あるべき、あるいは見られるべきものが見られないことです。陽性症状は病気の急性期を特徴づける症状で、深刻な症状と言えますが、病気の発症後、年数を経るにつれ、症状の程度はマイルドになっていく傾向があります。一方、陰性症状は病気の発症後、年数を経るにつれ、次第に目立ってくる傾向があります。以下に陽性症状、陰性症状をまとめます。
■陽性症状
- 幻覚(幻聴、幻視など)
- 妄想
- 思考の障害(思考の途絶、支離滅裂な言語など)
- 行動や運動機能的な問題(激しい興奮、常同運動など)
- 感情の鈍磨
- 興味の喪失
- 喜びを感じにくい
- 意欲の低下
- 会話の減少
統合失調症の初期症状・前兆……不眠、頭痛、性格変化など
統合失調症の発症前には、それまでには見られない異変や何らかの違いが現われることが少なくありません。こうした変化はそれぞれの変化になるものですが、ありがちな変化として次のようなものがあります。- 不眠、昼夜逆転など睡眠パターンに大きな変化
- 頭痛、腹痛など身体症状を頻繁に訴える
- 他人に対して猜疑心が強くなるなど、気持ちのあり方に変化
- 学業や仕事のパフォーマンスが顕著に低下している
- 非常に抽象的なテーマを急に好むようになっている
- まわりが違和感を覚えるような話し方や行動がある
統合失調症の予後を良好にする大きなポイントは、できるだけ早く治療を開始することです。精神科(神経科)を出来るだけ早く受診するためには、異変を見逃さないことが第1です。
例えば突然、学校へ行かなくなり、部屋に引きこもり、服を着替えない、歯をみがかない、顔も洗わないといったような時はさまざまな原因が考えられるでしょうが、統合失調症を発症しつつあるということも、その原因の一つになり得ることはぜひ、認識しておきたいところです。
統合失調症の発症原因と治療法……ストレスも契機か
ところで、どうしてこの病気が発症するのか厳密にはよく分かっていません。遺伝子レベルで元々なり易い傾向がある人が何らかのストレスを契機に発症するとは考えられていますが、どんなストレスが統合失調症の発症につながるかは一概には言えません。それは大きなストレスかもしれませんし、ごくありふれた日常的なものかもしれません。しかし一度、発症してしまったら、病気が進行しないよう、迅速に治療を開始する必要があります。治療は一般に長期戦ですが、統合失調症と、いわば闘いながらも、素晴らしい音楽活動をされている有名なトランペッター、トム・ハレルの例は、この疾患の回復ゴールの1例として、以前、紹介しましたが、統合失調症の発症後も高いレベルで社会生活を送ることは充分可能なこと、そして近年における医学の進歩は急速で、統合失調症の治療法もどんどん進歩している最中だという事は是非認識しておきたい事です。
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