大学生の就職活動/就職活動での内定から入社まで

内定先に入社する決意(後編)(3ページ目)

自分のキャリアは自分で決める時代になったとはいえ、ある程度は新卒で入社する会社に育ててもらうことを考慮に入れるべきだ。目先の知名度や初任給の額、業界、仕事内容だけで選ぶのは、視野が狭すぎる。

執筆者:見舘 好隆


その会社において、自らが成長できるのかを吟味する

自分の夢に近づく作業として、「試すこと」「人脈作り」「働く意義の獲得」の3つを挙げたが、これはあくまでも手掛かりであって、自らがそのチャンスを掴み取る力を持たなくてならない。

チャンスを掴み取る力は三種類ある。それは「知識」と「スキル」、そして「リーダーシップ」だ。

「知識」は、例えば海外で働きたいなら、英語はもちろんその国の語学を習得しなくてはならないし、起業したいならアカウンティングやマーケティングの知識も必要だ。やりたい仕事によっては資格が必要な場合もある。

「スキル」は、例えばゲームデザイナーになりたければゲームプログラミングのスキル、営業のプロになりたければ営業のノウハウ、テレビ番組のプロデューサーになりたければアシスタントディレクターで経験を積まなくては難しいだろう。

そして「リーダーシップ」。これが一番難しい。リーダーシップとは「チームに目標達成を促すよう影響を与える能力」(出典:『組織行動のマネジメント』ステファン・P・ロビンス)。この力を持たなければ、「自分がやりたいこと」を具現化することができない。

この中で「知識」「スキル」はプライベートの時間を活用することで補えるが、「リーダーシップ」だけはチームで働きながら失敗を繰り返し獲得していくものであり、最も習得が難しい。ある意味どこの会社でも獲得できる力であるが、できればその会社にリーダーシップに優れた人がいて、リーダーシップが発揮しやすい職場であることが望ましい。その中でリーダーシップに優れた上司や同僚、部下と揉まれながら構築できれば最高だ。

新卒のみなさんにとっては、まずは「リーダーシップを持つ上司」と巡り合う事だ。上司は選べないのでどうしようもないが、個々人が輝いて働いている職場かどうかは、先輩に会ったり、職場を見学すれば少しは掴めるだろう。また、リーダーシップを獲得する研修プログラムがある会社だと、もっといい。このあたりは人事に聞けばわかるだろう。

とにかく、一番重要なポイントは、その会社に自分が「成長できる」土壌があるかどうかだ。もちろんみなさんはまだ働いた経験が無いのだから、どんな会社でも「成長できる」かもしれない。でも、自らのキャリアプランにおいて、最も習得が難しい「リーダーシップ」が獲得できる会社かどうかは、一度考えてみる価値はあると思うよ。


※リーダーシップはマネジメントとは違います。このあたりは難しいので、次の機会に詳しく書きます。

※リーダーシップが獲得できそうな会社といえば、有名どころで言えば日産自動車でしょう。カルロスゴーンは日産を再生させる際に、改革に積極的な若手社員から構成される組織横断的なクロス・ファンクショナル・チーム(CFT)を立ち上げ、改革の原動力にした。決してトップダウンではなく、自律的なCFTでの集中的な議論を通じて、彼らに当事者意識を持たせ、改革の強力な支持者に仕立て上げることに成功したのだ。そのマインドは改革後も引き継がれている。その証左として「日産ラーニングセンター マネジメント インスティテュート」を開校している。経営者の育成を主たる目的とした研修施設だ。私もここで学んでみたい。


※次のページで、その会社で出世するキャリアプランを考えてみる

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