マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

欠陥マンションにご注意! 安かろう悪かろう住宅誕生の構図

「手抜き住宅」「欠陥マンション」が世間を賑わせていますが、すでに購入している方が欠陥を発見したら、どのように対応すればいいでしょう。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

マイホーム取得はリスクのかたまり?


「あなたのマンション 10年後の価格」
「ゼネコン 新勝ち組と転落組」
「マンション、戸建て、リフォーム 家づくりで勝つ!」

あなたのマンションは大丈夫?
あなたのマンションが欠陥住宅だったら・・・
7~8月にかけてビジネス系の週刊誌や月刊誌で特集された、マイホームの資産価値や欠陥住宅についての記事です。長引くデフレ経済のなかでマイホームを取得することはリスクを伴うことが一般消費者にも理解されるようになり、こうしたリスクをヘッジ(回避)するには「施工業者の体力」や「リセールバリュー(再販価値)」、さらに「手抜き住宅には気をつけろ」といった点に留意したい、といった内容が盛り込まれていました。

また、先日、米国のナスダックへ上場を果たしたばかりのインターネット検索大手グーグルで「欠陥マンション」と検索すると、約1560件ものサイトが引っかかります。欠陥マンションを生み出す業界の体質に言及しているものから、具体的な企業名をあげて訴えている購入者(=被害者)自身のホームページなど、その内容は多彩でした。


欠陥マンションは増えている?


先日、大手設計事務所に長年勤務され、数々のマンション監理を手がけてきた一級建築士の方と話をする機会がありましたが、その方は近頃の新築マンションの品質が低下していることに警鐘を鳴らしています。

建設コストが上がっている

市場規模の縮小によって大手・中小を問わずゼネコンの受注高は減少を続けているなか、従業員を遊ばせておくわけにはいかないので、今までは持ち出し覚悟で「赤字受注」を取っていたが、ここ最近はメインバンクからの締め付けが強くなり、利益の出ない案件は受けなくなってきた。そのため本来の「適正価格」による建設コストが成立するようになったので、結果的に建築コストは上がっている。

分譲価格には反映でいない現状

しかし、建築コストの上昇分をそのまま分譲価格に転嫁できないジレンマがある。マンション業界は熾烈(しれつ)な価格競争をいまだに続けており、ストレートに値上げをすることは難しい。売れ行きが鈍っては何にもならないからだ。そこで

 ○専有面積を相対的に小さくすることで、販売価格を落とす(工事単価は変わらず)
 ○目に見えない部分で品質を落とし、工事コストを下げる(工事単価は下がる)

ことで従来の分譲価格を維持している。これが「安かろう悪かろうマンション」が出来上がる構図なのだ。コンクリートスラブ厚や配筋の本数が不十分となり、遮音性能や耐震性が落ちることとなる。


もし、瑕疵(欠陥)が見つかったら・・・


「賢いマンション暮らし」に励む読者の皆さまのマンションで欠陥が発見されたら、どう対応したらいいか、最後にご紹介します。

■ 委託管理会社へ報告する

特に大手不動産会社が販売した分譲マンションでは、受託管理業者は売主の系列であることが多いはずです。管理員やフロントマン(営業担当者)へ、まずは連絡しましょう。

■ アフターサービス基準に照らし合わせる

新築マンションの購入であれば、売主との間で「アフターサービス」に関する保証契約が成り立っているはずです。アフターサービスとは「マンションの各部位においてサービス基準に該当する現象(例:雨漏り、床はがれ)が発生した際に、サービス期間内であれば売主が無償で修理するサービス」のことです。契約時に受け取ったアフターサービス基準にもとづき手続きを行なってください。

■ 品確法や瑕疵担保責任を準用する

売買契約書にある「瑕疵担保責任」を準用する方法もあります。売主が宅建業者の場合は「引渡しを受けてから2年間」のうちに隠れた瑕疵(欠陥)が見つかった場合、売主に対して「損害賠償」と「契約の解除」を請求することができます。

修補請求(欠陥部分の修理)を希望するのであれば、品確法を活用しましょう。品確法とは「構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分(「基本構造部分」といいます)」に瑕疵があった場合、引き渡しを受けてから10年間は売主が無償で修理することを義務付けた法律です。しかし、修理の対象は基本構造部分の欠陥に限定され、また、施行日の関係から2000年4月1日以降に建設された新築マンションにしか適用されない点を補足しておきます。

■ 住宅紛争処理支援センターの活用

ご自宅マンションに指定住宅性能評価機関による建設住宅性能評価書が交付されている場合には、住宅紛争処理支援センターへ相談することができます。裁判沙汰に近いトラブル(あっせん、調停、仲裁)の際には力になるはずです。

指定住宅紛争処理機関の一覧はこちらで確認できます。

【お役立ちサイト】エリア別住宅相談窓口のリンク
【関連コラム】実録!築28年マンションの床下配管
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