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翻訳コーディネーターの仕事(2ページ目)

翻訳業界に無くてはならない存在、翻訳コーディネーター。製品である翻訳物のクオリティーそのものを左右する奥の深い仕事です。現役翻訳コーディネーターに仕事内容や翻訳の現場についてお話を伺いました。

執筆者:柏木 梨花

契約書、取扱説明書などのビジネス文書、広告・看板などのPR関連から卒業証書や手紙など個人に関するものまで、扱う文章は様々。

翻訳コーディネーターとして特に気をつけている点

ガイド:翻訳コーディネーターのお仕事をされる中で、特に気をつけている点は何ですか?

加藤さん:お客さまが求められていることを的確に把握すること。これを常に意識しています。
最初は翻訳コーディネーターというのは、翻訳依頼を右から左にながすだけ、と思っていたのですが、実際はそうではありません。

文章から発生するであろう問題点を事前に予測し解決することが求められますし、その点に一番気を遣います。

事前に原文に目を通して問題になりそうなところ、例えば、日本語でのニュアンスの表現が難しそうなところや専門性の高い部分などを見つけ、どういうかたちにするかを翻訳にはいる前にお客様と打合せをしておきます。
特に、お客様が原文の内容を把握されていない場合は、こちらがきちんと問題点を予測し、お客様にご提案できるかが大切になってきます。

翻訳された文章によって人やお金が動きます。
例えば、取扱説明書や契約書など、ニュアンスひとつで違う意味にとられて事故につながったり、大きな契約がダメになったり、といった可能性もあるわけです。
納品をしたときはいいけれど、実際にその翻訳文が使われたときにトラブル発生なんてことにならないよう、考えられる問題点全ての解決策をたてトラブルを未然に回避する。この点を常に重視しています。

それから、情報管理の徹底も重要です。
発売前の製品情報や、個人のプライベートに関することなど、非常に機密性の高い文章を取り扱いますので、情報管理には最大限に気を遣います。


翻訳コーディネーターとしてのやりがい

ガイド:どんなときにやりがいを感じますか?

加藤さん:難易度の高い案件を、お客様、翻訳者と協議・相談をして協同で目的を達成できたときは、本当にやっていてよかった、と思います。
最初のころは色々と失敗もしてきましたが、失敗も含めたこれまでの経験に基づいてご提案をし、お客様に喜ばれると嬉しいでね。予算や納期が厳しいものほど、達成感を感じます。


翻訳コーディネーターに求められる資質

ガイド:翻訳コーディネーターになるには、どういったスキルや資質が必要ですか?

加藤さん:必ずしも特定のスキルは必要としません。
一定レベルの外国語スキルがあれば、ある程度スムーズに業務を行うことはできますが、絶対条件でないですね。
資質等をあえて言わせていただくのであれば、「冷静に問題を解決できる人」だと思います。翻訳事業はトラブルに陥ると、非常に切迫した事態になります。その状況を冷静に把握、分析して解決方法を打ち出して実行できる方は翻訳コーディネーターに向いているのではないでしょうか。
トラブルが発生したときに熱くなってしまってはダメですね。
常に冷静に、何があっても建設的に解決できる、ここがポイントだと思います。

それから、コミュニケーション力も必要です。お客様との折衝、翻訳者への指示・依頼などコミュニケーション力は必要不可欠です。
この2点があれば、外国語力はなくても大丈夫です。




「翻訳された文章によって人やお金が動く」。非常に責任のある仕事です。

加藤さんに、現役翻訳コーディネーターから見た現場が必要とする翻訳者像を伺いました。
次回、お届けします。

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