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予告手当のことご存じですか 解雇を巡る法律知識(後編)(7ページ目)

会社が従業員を解雇する場合、前もって予告しなければなりません。ただ、一定の決まりに従って手当を支払えば、即日解雇も可能です。後編では、この解雇予告と予告手当の問題を取り上げます。

執筆者:西村 吉郎

■内定の取り消しが解雇に相当する場合も

Q:入社3日前になって採用取り消しに

転職が決まっていた会社から、入社予定の3日前になって採用取り消しの連絡を受けました。前任者が退職しないことになったからというのです。すでに前の会社を辞めてしまっているのですが、しかたないとあきらめるほかないのでしょうか。
      
A:迷惑を被った分の慰謝料支払いを求めてみては
採用内定の法律的な契約としては、内定通知とこれを受諾することによって成立する労働契約があります。つまり、内定の取り消しは解雇にあたるとする見方が一般的で、内定を解約する場合には解雇と同様に扱われますし、合理的な理由も必要になります。

あなたのケースでは、「前任者が退職しないことになった」との会社側の理由のようです。しかし、そのままでは受け取っても、また「会社の経営上、これ以上の人員を抱えるだけの資力がない」という意味に受け取ったとしても、合理的とはいいがたい理由であるといえるでしょう。したがって、内定取り消しを無効とし、社員としての地位の確認を求めることも可能です。しかし、現実問題として、そのような理由で内定を取り消すような誠意のない会社には、内定取り消しを無効にしてもらってまで入社する必要があるかでうかは疑問です。

とはいえ、内定取り消しという精神的ショックを受けたこと、すでに前の会社を退職してしまい、経済的な不安を抱えていることは事実なのですから、その代償としての解雇予告手当を請求するという方法もあります。個人的に交渉するのが難しいときは、労政事務所などに相談し、仲介してもらうといいでしょう。


■解雇の撤回を求めるときは

Q:解雇の不当を訴えたいが先立つものがない

開発から営業への配置転換を伝えられ、これを拒否したところ即日解雇されました。解雇無効を主張して退職金の受け取りも拒み、訴訟検討中ですが、収入が途絶えているためままなりません。どうすればいいのでしょうか。

A:退職金を受領した上で雇用保険の手続きを
まず、当面の生活費として、また弁護士を依頼する際の手付け金としては、退職金を受領するのが先決かと思われます。もし、即日解雇に伴う30日分の予告手当が出るでるのであれば、これも合わせて受領すべきでしょう。

あなたは、解雇無効を主張してこれらの受けとりを拒否しているとのことですが、本来、解雇が有効であるか無効であるかは、当該解雇通知が客観的に見て正当であるかどうかによって判断されるべきものです。対象となった従業員が解雇予告手当または退職金を受領するなどして解雇を承認する意志表示をした場合でも、そのことをもって、その解雇が有効になったという判断はできないとされています。

つまり、あなたに対する解雇通知が法的にみて違法性がある場合は、予告手当や退職金を受領したか否かに関わらず、解雇の無効を訴えることができるのです。

そこで、会社から離職票を受け取り、ハローワークで雇用保険の受給手続きをします。係争中とはいえ、現実に会社での仕事がなくなり、給与も支給されないのですから、失業者として雇用保険の受給は可能です。離職票を受け取るのに抵抗があるかもしれませんが、ここは割り切るべきでしょう。
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