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予告手当のことご存じですか 解雇を巡る法律知識(後編)(3ページ目)

会社が従業員を解雇する場合、前もって予告しなければなりません。ただ、一定の決まりに従って手当を支払えば、即日解雇も可能です。後編では、この解雇予告と予告手当の問題を取り上げます。

執筆者:西村 吉郎

Q:試用期間中に解雇されたが予告手当が出ない


ある週の月曜日から新しい会社に勤め始めましたが、翌々週の月曜日に即日解雇されました。解雇そのものの取り消しを求める気はありませんが、10日しか働いていない試用期間中の身だから解雇予告手当は出ないといわれた点については納得いきません。

A 入社後14日を超えていれば解雇予告が必要
新卒、中途にかかわらず、新規の採用者に対してはほとんどの会社で一定期間の試用期間が設け、その間に適性がないと判断したときには即時解雇する旨を定めているようです。

この試用期間中の解雇は、2カ月以内の期間を定めて雇用される労働者を解雇する場合などとともに、解雇予告の義務が適用されない例外の一つですが、試用期間に入ってから14日(2週間)を超えて引き続き使用されていれば、解雇予告が必要となります。

あなたの場合も試用期間中の解雇ということですが、ここでいう「14日を超えて」の「14日」とは、実際に就業した日数ではなく、休日を含めた暦日を指しています。週休2日制であれば、あなたが実際に就業した日は10日間になりますが、暦日で数えると、解雇を通告された日は試用期間に入ってから15日目にあたります。すなわち、すでに「14日を超えて」いることになりますので、解雇予告が必要となるわけです。

社員としての適格性を問題に解雇する以上、30日前の解雇予告を行うのは矛盾することになりますので、会社には、これに代わる手当を支払う義務があるということになります。


Q:労基署の除外認定がないのに予告手当もない


ある事情で、懲戒解雇処分を受けてしまいました。会社が予告手当を支払わない場合、労働基準監督署の予告除外認定が必要だと聞きましたが、状況から見て、そんな手順を踏んでいる様子はありません。それでも、この解雇は有効なのでしょうか。

A 除外認定を受けずになされた即時解雇は無効
労働者が重大または悪質な問題を起こして、それを理由に懲戒解雇される場合で、労働基準監督署長からこの解雇予告に関する規定の除外認定を受けた場合には、解雇予告も予告手当も必要とせずに解雇することができます。

こうした定めを守らず、使用者が除外認定を受けずに即時解雇した場合、その解雇が有効か無効については諸説ありますが、「除外事由の認定によって、はじめて解雇が有効になる」とみなすべきだとの見方が有力です。つまり、会社が労基署の除外認定を受ける手続きを経ないままに、あなたを解雇予告も予告手当もなしに解雇したとなれば、その解雇自体が無効と判断される可能性があるのです。

会社が除外認定の手続きを取っていれば、必ず労基署から、その内容についての確認があるはずです。それがないということは、手続き自体が行われていないと判断してもいいでしょう。まずは、会社を管轄する労働基準監督署に出向き、解雇に至る事情を説明してみることです。
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