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木造住宅がなくなる!?(2ページ目)

都心部では木造住宅が年々少なくなっています。なぜ木造住宅が建てられないのでしょうか。また木造住宅そのものがなくなってしまうのでしょうか。その要因と将来を考えてみました。

執筆者:平野 雅之


木造住宅幹線通り沿いの木造住宅は消える運命?また、木造建物が可能な根岸、谷中地域でも、容積率の充足率が40%未満であることや、細街路が多く防災上問題であることが指摘され、 「建物共同化の推進」 「不燃化の促進」 「狭小幅員道路の拡幅」 「袋小路の解消」 などが重点施策として掲げられています。

細街路こんな裏路地もやがてなくなる?このような状況のもとで、木造住宅は年々減少していく運命にあるのでしょう。これは決して台東区に限った問題ではありません。

この台東区でも、建物用地利用比率において独立住宅 (集合住宅以外の住宅) が20.6% (平成8年データ) だったのに対し、千代田区が2.7%、中央区が4.5%、港区が10.8%となっており、もともと一戸建て住宅として利用されている土地の割合が低い状態です。ちなみに23区平均では33.9%となっています。

千代田区や中央区の都市計画でも同様にほとんどの地区が防火地域に指定されています。千代田区で準防火地域に指定されているのは、九段北の靖国神社周辺、麹町の外堀沿い、紀尾井町の一部のみで、中央区にいたっては、浜離宮のエリアを除いて区内のすべてが防火地域になっています。

ちなみに、平成12年の1年間に着工された木造建築物は、千代田区が6棟、中央区が13棟、台東区が93棟となっていますが、世田谷区の2,717棟と比べればいかに少ないかが分かります。

この傾向はいずれ周辺区にも拡がって行く可能性もありますが、郊外で木造住宅がなくなるのはまだ遠い先のことと思われます。木材資源の枯渇によって 「木造建築が禁止される」 という可能性も考えられますが・・・。

寺社寺社も鉄筋コンクリート造に!都市の防災、不燃化が重要であることは否定できません。今の都市計画が間違っているとも言えません。しかし、都心部で木造の建物が少なくなっていくのは寂しい限りです。全く燃えない木材が開発されれば、とも考えてしまいますね。

昔、私たちが子供だった頃に夢に描いた21世紀は、高いビルが建ち並び、空中回廊があって、その間を空飛ぶクルマが駆け回るものでした。そこには確かに木造の一戸建て住宅などなかったのですが、空飛ぶクルマは実現しなくても、都心部で木造住宅が姿を消すのは、それほど遠くない将来かもしれません。

《写真はいずれも台東区内にて撮影》



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