不動産売買の法制度

更新日:2005年08月06日

ゴミ屋敷の存在は説明対象なの?

購入しようとする物件の近くに「ゴミ屋敷」があったとき、その事実は「重要事項説明」によって不動産業者から説明されるのでしょうか?また、不動産業者にはそれを調査する義務があるのでしょうか?


明らかに説明義務が生じるレベルのケースで買主への説明を怠ったとき、あるいは知っているのに隠したようなとき (現実にはその実証が難しい) には、当然に不動産業者の責任を追及することもできます。しかし、そうではない程度のゴミ屋敷の場合にはどうなのでしょうか。

あいにく、ゴミ屋敷問題そのものに対する判例資料は手元にありませんが、他の判例などから類推すれば 「不動産業者に調査説明義務はない」 とするのが一般的な考え方のようです。この場合、一般の人よりも慎重な観察力があれば発見できるもの、あるいは、事前に知っていたものについては説明義務があるけれども、それ以上の積極的な調査義務 (周辺の住民に聞き取り調査をしたり、半径○○メートル以内の住戸を調べまわるような調査義務) を不動産業者に課すことはできないというものです。

ゴミ
ゴミを溜めるのも個人の自由?
「不動産業者は物件の取引や、法令に基づく制限などに関する専門家であって、生活環境問題に関する専門家ではない」 という考え方が、裁判所の判断の基本にあるようですね。

いざ、トラブルが起きると 「マンションの管理人に聞けば分かったハズなのに」 とか 「町内会長さんに聞けば教えてくれたのに」 というケースも考えられます。しかし、そのような場合には売主がゴミ屋敷の存在を知っていて当然であり、売主が不動産業者に伝えることを怠ったという判断になることが多いでしょう。もちろん、このあたりの調査になると業者による差が出てきてしまいますけどね。

ただし、売主自身が不動産業者である場合や、物件所在地の地元に密着し精通しているべき不動産業者の場合、あるいはゴミ屋敷の存在そのものが相当に有名な場合などには、不動産業者の責任がより重く判断されることも考えられるでしょう。

いずれにせよ、物件に対する心理的要因あるいは環境的要因に関しては非常に難しい問題を孕んでいます。今回はゴミ屋敷の問題を中心に説明しましたが、想定されるありとあらゆる問題について不動産業者が調査しようとすれば、それこそ丸1年かかっても調査しきれないという事態にもなりかねませんし、また、調査費用として1千万円以上頂戴しなければ調査できないということにもなってしまいます。

裏を返せば、不動産業者による物件の調査には限界があり、調査義務がないような事項も現実には数多く存在します。宅地建物取引主任者による重要事項説明で、何もかもが説明されるというわけではないのです。

購入者としては、気になる部分は自分でも調べてみるくらいの気持ちも必要でしょうし、契約締結前に売主へ積極的な質問をすることも大切になってきます。



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平野 雅之

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